今読むべき優良ビジネス書が
すぐ見つかり、読んだ本を
しっかり自分の知識にするサイト

本を検索する

カテゴリーから探す

人気のタグ

お知らせ


Android無料アプリ配信中
2013/01/18更新

7大企業を動かす宗教哲学 名経営者、戦略の源 (角川oneテーマ21)

220分

4P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

対象読者:

アマゾン詳細ページへ

経営哲学や理念は、宗教と深い結びつきを持っている

企業の経営哲学を宗教という視点から分析した本。松下電器、トヨタ自動車、サントリー、ダイエー、ユニクロ、阪急電鉄、セゾングループの7社の創業からの歴史を紹介しながら、どのように経営哲学が形成されていったかを紹介している。


■経営哲学に対する宗教の影響
経営哲学や理念に対して宗教団体の教義や思想が大きな影響を与えている事例は少なくない。もちろん、すべての企業がそれに該当する訳ではないが、かつて海外にも店舗を出店して隆盛を極めたヤオハンにおいて、会社を大きく発展させた和田一夫氏は新宗教の「生長の家」の熱心な信者で、その教義を社是に取り入れただけではなく、新入社員の研修を生長の家の道場で行っていた。

清掃関連の事業展開を行っているダスキンの場合、その創業者である鈴木清一は、「祈りの経営」を理念に掲げていたが、新宗教の草分けの一つである金光教に入信していた経験を持つ。さらに、修養団体で、京都山科に一燈園という共同体を営む西田天香に感化され、そこに入園していた時期もあった。一燈園では「六万行願」と呼ばれる便所掃除の実践を修行として位置付けており、ダスキンの事業はその影響を受けている。

日本的経営を特徴とする日本企業は、しばしば「村」に例えられるが、宗教教団も、特に庶民層を中心に信者を獲得した新宗教の場合には、村的な性格を備えている。

超短要約

■トヨタ自動車
トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎は、父親の会社である豊田自動織機製作所に入り、自動車部を設けて自動車の製造に乗り出す。父親の豊田佐吉は、喜一郎の試みを支えた。この佐吉を精神的に支え、独自の経営哲学を作り上げる事に貢献したのが「日蓮主義」と「報徳思想」であった。

日蓮主義は、日蓮の思想を、近代になって国家主義的なものと解釈し、それを天皇を中心とした支配原理である皇国史観と統合させたものだった。その日蓮主義の代表的な人物の本多日生に佐吉は帰依し、国家を発展させるために産業を興すべきだという考え方を導き出していく。こうした発想は、ただ事業を営んでいるだけでは生まれてこないものであり、日蓮主義の説くナショナリズムが影響した。さらに佐吉は、報徳思想から勤勉で禁欲的な姿勢や労働観を教えられていった。

報徳思想は、二宮尊徳に由来する。報徳思想の重要なポイントは、たんに勤勉や節約を説く事にとどまらない点にある。尊徳は、借入という形で資金を導入し、将来を見据えた経済基盤を提供した上で、対象となる家や藩の人間に対して、勤勉や節約を実践するよう求めている。徹底した勤労や節約によって将来が開けてくる見通しが立たなければ、禁欲的な生活を続ける事は難しい。尊徳は、儒教的な道徳を背景に、人間の分や、恩を受けた他者に感謝を示す態度の重要性を強調し、それを実際の生活に生かすための仕組みを作り上げていった。

尊徳の提示する仕法に従っていれば、生活が改善され、その人間が属している組織の立て直しが、やがてかなう事を実感する事ができた。まさにこれはトヨタ生産方式と共通する。改善などは、それを進めていけば、作業員自身の仕事のやり方が効率化されるだけではなく、他の作業員にも役立つ。

トヨタの基本的な精神をあらわす綱領には、報徳思想が強く影響している。日蓮主義と報徳思想は、トヨタの宗教哲学の基盤を形成する役割を果たしたのである。

さらにトヨタの特徴は、本社が工場と隣接した土地に建てられている事にある。このトヨタのあり方は、ジャスト・イン・タイムの考え方と密接に結びついている。工場で問題が起これば、すぐに本社の社員が工場に来る事ができる。

これはトヨタという企業が、挙母(現豊田市)という土地に深く根差し、そこから離れられない事を意味する。トヨタに勤務するという事は、挙母という土地に生き続ける事である。そこにこそ、農村に生まれた宗教哲学である報徳思想が、今日のトヨタにも影響を与えている根本的な原因がある。トヨタは、一つの巨大な村なのである。

著者 島田 裕巳

1953年生まれ。宗教学者、文筆家 放送教育開発センター助教授、日本女子大学助教授を経て、1995年に教授に昇格するも同年に退職。 2005年から2008年まで東京大学先端科学技術研究センター特任研究員。 2006年より中央大学法学部兼任講師。2008年より東京大学先端科学技術センター客員研究員。

この本を推薦しているメディア・人物

ビジネスブックマラソン ビジネスブックマラソン
土井 英司
週刊 ダイヤモンド 2013年 2/16号 [雑誌] 週刊 ダイヤモンド 2013年 2/16号 [雑誌]
三省堂書店営業本部課長 鈴木 昌之
PRESIDENT (プレジデント) 2013年 4/15号 [雑誌] PRESIDENT (プレジデント) 2013年 4/15号 [雑誌]

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
はじめに p.3 8分
第1章 松下電器産業(現パナソニック) p.21 22分
第2章 ダイエー p.54 22分
第3章 トヨタ自動車 p.88 28分
第4章 サントリー(サントリーホールディングス) p.130 22分
第5章 阪急電鉄(現阪急阪神ホールディングス) p.164 19分
第6章 セゾングループ・無印良品 p.193 22分
第7章 ユニクロ(ファーストリテイリング) p.227 20分
おわりに p.258 3分

この本に影響を与えている書籍(参考文献、引用等から)

経営人類学ことはじめ―会社とサラリーマン 経営人類学ことはじめ―会社とサラリーマン
[Amazonへ]
ドラッカー名著集12 傍観者の時代 (ドラッカー名著集 12) ドラッカー名著集12 傍観者の時代 (ドラッカー名著集 12)
[Amazonへ]
P.F. ドラッカー経営論 P.F. ドラッカー経営論
[Amazonへ]
人間を考える―新しい人間観の提唱・真の人間道を求めて (PHP文庫) 人間を考える―新しい人間観の提唱・真の人間道を求めて (PHP文庫)
[Amazonへ]
私の行き方考え方 (PHP文庫 マ 5-5) 私の行き方考え方 (PHP文庫 マ 5-5)
[Amazonへ]
プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫) プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)
[Amazonへ]
人生問答〈上〉 (聖教文庫) 人生問答〈上〉 (聖教文庫)
[Amazonへ]
トヨタ経営システムの研究―永続的成長の原理 トヨタ経営システムの研究―永続的成長の原理
[Amazonへ]
日本の村―小さい部落 (人間選書) 日本の村―小さい部落 (人間選書)
[Amazonへ]
わが安売り哲学 (中内功シリーズ) わが安売り哲学 (中内功シリーズ)
[Amazonへ]
完本 カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」〈上〉 (ちくま文庫) 完本 カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」〈上〉 (ちくま文庫)
[Amazonへ]
忘れられた日本人 (岩波文庫) 忘れられた日本人 (岩波文庫)
[Amazonへ]
菊と刀 (講談社学術文庫) 菊と刀 (講談社学術文庫)
[Amazonへ]
小林一三―逸翁自叙伝 (人間の記録 (25)) 小林一三―逸翁自叙伝 (人間の記録 (25))
[Amazonへ]
一勝九敗 (新潮文庫) 一勝九敗 (新潮文庫)
[Amazonへ]

ユーザーのしおりメモ (0)