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2013/01/19更新

〈選択〉の神話――自由の国アメリカの不自由

318分

6P

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選択を制限するもの

私たちの選択の幅は、以下の要因によって、ある一定の狭い範囲に制限されている。

①脳の構造
脳は間違いを犯し、簡単に騙され、一定の方向に思考し、反応し、感じるように私たちを仕向ける。判で押したように記憶違いをし、未来について全くアテにならない予測をする。しかし、私たちはこれらの傾向に自分では大概気付いていない。
ex.ビキニ効果、メンタル汚染

②文化の影響力
私たちを取り巻く文化的な環境は、人の行動のあらゆる側面に影響を及ぼすが、私たちはその事実に気付かない。それは、可能/不可能、善/悪、贅沢品/必需品などに関する見方を築く上で、重要な役割を果たしている。
ex.愛国主義とナショナリズム、消費主義、宗教、男女の役割、セクシュアリティ

③権力に従おうとする人間の傾向
文化的な規範や影響力と同様、規則を遵守し、権威に従おうとする私たちの性質は、まっとうな選択をする能力を損なっている。その点をしっかり認識しておかないと、従うべきではない状況で権威者の言う事に従うようになる。反対すべき時に盲従し、声を大にして意見を述べなければならない時にもかかわらず黙り込む。

④自由市場の浸透力
市場は私たちに途方もない選択の範囲を与えてくれる。しかし無視されがちなのは、それと同じくらい深いレベルで市場が選択を制限するという事実だ。すべてを支払い能力に従って分配する市場においては、先立つものがなければ選択の余地はないに等しい。そして、市場は、無反省に買うものを決める消費者の傾向につけ込む機会と動機を、マーケッターに与える。私たちが望もうと望むまいが、子供、性、臓器など、すべてを商品化する。その大きな浸透力を持つ市場の影響力から逃れる事は、ほとんど不可能だと言える。

いかに選択するか

人間は脳の機能のために制限され、文化によって盲目にされ、権力にそそのかされ、市場に操作される。この事実に無知のままでいると、それだけそれらの影響は強力で避けがたく、かつ目に見えないものになる。制限の多い世界では、「選択は自己責任である」というレトリックへの固執はせいぜい現実逃避にしかならない。

多くの人々にとって選択をもっと真正なものにするためには、内的と外的の両面から検討しなければならない。

①個人が選択能力を向上させる
・状況や環境の力、つまり選択がなされる文脈について十分に認識しておくこと
・自分の判断の限界と不合理性に気付くこと
・自分の習慣に注意を払うこと
・文化の影響に対する気付きを育むこと

②公共政策によって、人々が意思決定能力を行使できる領域を保護する
・経済的な必要性が抑圧の源泉にならないようにすること
・政治的、文化的な多様性を大事にすること
・公約する機会を増やすこと