博報堂ケトル 嶋浩一郎さん (代表作:本屋大賞)
・すべての企画は「欲望の気づき」の先にある
雑談しているなかで本屋さんが「直木賞、俺だったらこれを選ぶのに」なんて言うんですよ。本屋さんは面白いけど知られていない本を知っているんだ、そして本に対して直木賞の選考委員に負けないくらい強いこだわりや思いを持っているんだと気付いた訳です。すべての企画って「人間の欲望の気づき」なんですよ。
最初はみんな、「企画を立てる」という事を難しく考えちゃうと思うんですよ。でも、僕が街で観察するみたいな事って、全然難しくない事です。年寄りがゲームセンターに出入りしている事に気付いたら、何でだろう?寂しいのかな?そういう人たちにどういう仕掛けをしたらいいのかな?というふうに考えていけばいいんです。
「おひとりさま」っていう現象も、その言葉ができる前からみんな見ていた事なんですよ。「草食男子」だって、昔からいて、みんな見ていた。でも「草食男子」って概念に誰かが気付いたとたんに雑誌の特集になったり、ビジネスになっていく。
・無関係のものをうまく結び付けたら、ヒットする
情報って、片づけないで放牧していた方が面白いんです。自分が知った情報をファイリングせず、いろんな情報と結び付けられるようにしておく。すると想定外のつながりが生まれるんです。
別々のものをくっつけること、しかも両者が遠く離れていればいるほどインパクトがあるんですよ。
NHK 渡辺圭さん (代表作:『その時歴史が動いた』)
・やり尽くされたテーマでも、新しい切り口は必ずある
多くの人に愛されている人物や事件は、それだけいろんな視点で描けるとも言えるんです。例えば義経の場合、単に「悲劇の人」と描く事もできるけど、「本当にかっこよかったの?」「静御前との仲は?」「生き延びたという伝説の真相は?」と。だからまずは、ここのポイントはまだやってない!というのを見出す作業ですね。
・上手に伝えるために必要なのは「驚き」と「共感」
多くの人は「歴史はつまらない」と思っている。難しいし、年号を暗記するのは面倒くさいし。でも「昔の人にも今の私たちと同じ部分があるんだ!」という発見があれば面白く感じられると思うんです。私は「驚き」と「共感」があれば歴史を面白く伝える事ができると思っています。
フジテレビ 坪井貴史さん (代表作:『ネプリーグ』)
・なんでもいいけど、どうでもいいはダメ
僕自身の理想は「なんでもいいよ」と言えるプロデューサー。「なんでもいいよ、でも『どうでもいい』じゃダメだよ」と言える人。やっぱり「どうでもいいよ」はダメですね。見る人はどうでもいい、予算はどうでもいい、演者さんが光るかどうかはどうでもいい・・・ただ、自分の好きな事やりたい、というのはダメ。