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素人発想、玄人実行

アイデアを生んだり、独創技術を開発するためには、極端に言うと荒唐無稽というか、つまり思考が飛躍する必要がある。現状から始めて、一つ一つのロジックがぴたっぴたっとつながって結論を生む思考法では飛躍は難しい。結論からひとまず先に作っていく、つまり、希望から話を始める必要がある。まさに素人の考えである。

素人は知識や経験がないから、固定観念にしばられずに自由な発想ができる。「できるかどうか」より、「こうあって欲しい」という希望や想像から発想は生まれる。それは「できるのだ」という積極的態度につながる。

そもそも専門家とは「こういう場合には、こうすべきだ」というパターンを習得した人である。逆に言うと、その型にとらわれてマンネリにもなるし、飛躍した発想がかえって出にくい危険性がある。既存の方法でうまくいったという経験と知識が、発想の貧困を招く事もある。

「考える時は素人として素直に、実行する時には玄人として緻密に」。物事を推し進めていくためには、この両方を併せ持ち、使い分けなければならない。そのためには、玄人として築いてきたものでも、捨てなければならない事がある。アイデアを完成できるかの分かれ道は、捨てて考える決断力、勇気があるかどうかである。

独創はひらめかない

独創的な人は「ひらめく」とよく言われる。しかし、アイデアはひらめくというより、長い間考えた末の結果である事の方がはるかに多いのではないか。

アイデアというのは、それまで全く考えていなかった事が、瞬間にぱっとひらめくというものではない。頭脳を絞って考えたり、実験したり、いろいろやり続けてはじめて、「あっ、こうに違いない」とぱっと出てくるのである。アイデアは思考の持続がないところには生まれないのではないか。

独創、創造と言うと、それまで誰一人として考えもつかなかった素晴らしいアイデアを初めて思いつく事だと考えがちだが、実はそういう事はめったにない。科学史や技術史を見ても誰かが以前に考えたのだが、当人に実行する力がなかったとか、最後まで目標を追い求めず、追究の仕方が中途半端で十分実を結ばなかったとか、その時点で使える技術や道具が不十分であったという事が極めて多い。

何もないところから、突然考えるという事は、普通はできない。自分がいいと思う事は、他人も考えている場合が多い。全く誰も考えもしなかったアイデアは普通ろくな事はない。

真似をしてもいいではないか。最初は同じものだが、それに何を付加するか、それを昇華させるレベルがどれほど高いかどうかが勝負の岐路である。