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2013/02/02更新

コミュニティデザインの時代 - 自分たちで「まち」をつくる (中公新書)

  • 山崎 亮
  • 発刊:2012年9月
  • 総ページ数:255P

199分

6P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

対象読者:

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「適疎」を目指す

田舎カフェ、雑貨屋、地元の産業のあらゆる側面に都市部からの移住者が入り込み、地元の人たちだけではできなかったような新しい取り組みに挑戦している。緩やかに人口が減っていく地方都市において、若者と高齢者の関係をうまくつなぎながら、あるいは地域の資源をうまく活用しながら、幸せに暮らしていく方法に多くの人が興味を持ち始めている。

人口が増えなければ利益が出ない、地域経済が成長しなければ豊かになれない、という発想ではなく、地域の適正人口規模を見据え、目標とする人口規模になった時に地域でどう暮らしていくのかを考え、それを一つずつ実践する事が重要である。人口が減り過ぎた事を「過疎」として嘆くばかりでなく、適切に疎らである「適疎」を前提としてまちの将来を考える事が求められる時代になった。

行政にお任せの時代の終焉

日本の総人口は、長い間3000〜4000万人だった。それが1900〜2000年までの100年間で急激に1億3000万人弱まで増えている。そして次の100年間でまた元の人口規模に戻っていく。

生産年齢人口が減る事は明らかだ。となれば、税収も減り、行政の財源は減らざるを得ない。そんな時代を生きる市民が「まちのことは行政にお任せ」という態度では役所が立ち行かなくなる。つまり、「自分のまちの事は自分たちでマネジメントする」という態度が重要になる。地元に住む人達が工夫してまちの将来を創り出し、それを実行していく気運を高める事が大切だ。

コミュニティデザインの時代

「公」は、たくさんの「私」から成り立っている。「公」は「官」や「行政」という意味ではない。かつて、日本人の8割は農村部に住んでいた。この時代、「私」が集まり、協力しながら「共」を成立させていた。皆で協力して生活し、つながりを維持した。

そのつながりが窮屈すぎて共同体を出る人もいた。高度経済成長期には多くの人が共同体を抜け出して都市で生活をし始めた。しがらみから抜け出す事に成功した若者たちは都市的生活を謳歌する事になるが、一方でつながりのなさに不安を感じる事になった。

都市部では「私」がつながっていないので「共」が生まれず、「公共」が生まれにくい。自ずと「公」は「官」と近づいていく。しかし、もはや「官」が「公」を担い続けることは難しい。税財源も縮小しているし、人々はつながりを求めている。

もう一度「私」をつなげて「共」をつくり、それを外部に開く事によって「公」を作り出す事が必要である。しかし、人々はしがらみの多い社会に戻りたい訳ではない。現代を生きる人たちにとって、つながりがありすぎるのも生きにくいのである。僕たちはいま、コミュニティデザインという方法を使って「いい塩梅のつながり」がどれくらいの強度なのかを探っている。