努力をすれば必ず夢は叶う、といった精神論をばっさり否定。超現実的に、もっと効率よく生きろというメッセージが書かれた「人生を消耗しない生き方」のすすめ。
■世の中は「ムダな努力」であふれている
努力をしても必ず報われる訳ではない。戦後、高度経済成長期は、確かに努力をすれば報われただろう。国民も一丸となって国を豊かにしようと意気込んでいた。
だが、今の日本は、これ以上豊かになれない国になった。少子化が進んでいる上、みな生活に困らないだけの物は持っている。今の若者に何を目指せというのか。「努力は報われる」という言葉は、すでに説得力を失っている。日本に閉塞感が漂っているのは、もはや伸びしろがない国なのに、若者に夢や目標を持てと大人たちが発破をかけるからだ。
■「根性」が、成功を遠ざける
「根性」でやることの大半は無意味だ。日本の企業の場合、細く長く働けるようにむしろセーブした方がいいのではないか。過労死するまで働くなどもっての他である。とは言え、20代は目一杯働く方が圧倒的に仕事ができるようになる。30代になってから、必死にビジネス書を読んで「できるビジネスマンになろう」と努力してもムダだ。そうなった場合、組織の中で細く長く生き残るしかない自分の将来を受け入れ、ムダな努力はやめて、その中でいかに賢く、自分らしく、面白く生きるかを考える。それが頭のいい生き方だ。
■「ムダな努力」と縁を切るルール
①ものごとに執着しない
環境にあわせて変われる適応力のある人の方が、間違いなく生き残れる。こだわりは一歩間違えば「執着」となる。
②あっさり妥協する
妥協しない人は、自分の思い通りの結果にならなかった時に相当なダメージを受ける。あらかじめ結論を決めておかない方が気楽でいられる。
③八方美人にならない
付き合う人を決め、それ以外の人とは交流を断つ。自分にとって何らかの意味を持たない人と一緒にいるのは時間のムダである。
④精神論に振り回されない
我慢しない。頑張らない。根性を持たない。自分がやりたいこと、面白そうだと思うことをやった方が、間違いなく物事は長続きする。
⑤「いい人」を信用しない
誰からも「いい人」だと評されている人ほど、信用できない人物はいない。どんな人でも賛否両論の評価があるのが自然であり、どちらか一方に偏っている人間には用心した方がいい。
⑥「できる人」を演じる
ビジネスでは、自分の能力の限界を相手に悟られてはいけない。優秀な人間を演じるのだ。相手に自分の手の内を読まれたら負けるポーカーと同じ。
⑦無理して社交的にならない
孤独を恐れるから不安や恐怖が生まれるし、判断軸もぶれる。皆から愛される努力など必要ない。
⑧運をムダ使いしない
人が生涯で使える「運」には限りがあると信じている。成功するかしないかは9方、運で決まると考えている。勝負時に備えて運は貯めておくべきで、日常の小さな業務で成果を出していたら、いつの間にか運を使い果たしてしまう。
⑨人に「情け」をかけない
情けをかけ、面倒を見たからといって、自分に恩義を感じてくれるとは限らない。大抵は自分の思い描いていたのとは違う行動を取られ、失望させられる。そうなる前に、人は人、自分は自分と割り切ることだ。
⑩残業はしない
家族には全力で愛情を注ぎ込むべき。残業までして自分の生活を会社に合わせる必要はない。
⑪相手を理解しようと努めない
仕事に限らず、プライベートで初めて会う相手でも、二言三言、言葉を交わせば、大体どんな人物かわかる。何度も会って、やっと相手の人間性がわかると思っている人は、ムダな努力をしている。
⑫くだらない人間と付き合わない
人は思っている以上に流されやすい。だから付き合う価値のないつまらない人間、くだらない人間とは距離を置くに限る。
著者 成毛眞
1955年生まれ。インスパイア創業者・取締役 元マイクロソフト日本法人社長、現在は株式会社インスパイアでコンサルティングやベンチャー企業への投資などを行っている。 また、スルガ銀行株式会社、株式会社スクウェア・エニックスの社外取締役や、様々なベンチャー企業の取締役・顧問などを兼職。早稲田大学客員教授も務める。
マインドマップ的読書感想文 smooth |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに 人生を“消耗"する前に考えておきたいこと | p.1 | 2分 | |
1章 “努力家"が知っておくべき10のこと | p.11 | 21分 | |
2章 「ムダな努力」と縁を切る、12のルール | p.55 | 24分 | |
3章 仕事は、「ラク」をしないと成果は出せない | p.105 | 19分 | |
4章 ここで分かれる「面白い人生」「つまらない人生」 | p.145 | 17分 |
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