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2012/12/23更新

ひつまぶしとスマホは、同じ原理でできている (日経プレミアシリーズ)

  • 理央 周
  • 発刊:2012年10月
  • 総ページ数:217P

130分

2P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
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  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

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ひつまぶしとスマホは、同じ原理でできている

名古屋めしの多くはゼロから創り出されたというよりも、以前からあるおいしいものを組み合わせてユニークな味を創り出している。いわば、リミックスと言える。

ひつまぶし=鰻丼+お茶漬け
味噌カツ=トンカツ+赤味噌

普通であれば、「それは、ありえない」もの同士をくっつけてみるとユニークさにつながる。

iPhoneの登場によって、スマートフォンという、全く新しい市場が確立された。製品が誕生した背景には、アップル社の卓越した技術があった。だがジョブズ自らが言うように、電話とインターネット機器と音楽プレイヤーが一体になっただけの製品である。

但し、既存のモノを意外なコンビネーションでリミックスする事を発想できる人はなかなかいない。意外なコンビネーションを発想した商品は、十分にイノベーティブなのである。

そもそもイノベーションというと大げさに聞こえてしまうが、ここでは「何か新しいこと」に手をつけて現状を打破する、くらいに考えてみてはどうだろう。視点を変えれば、きっと新しい価値が見つかるはずだと考えながら仕事をするだけで、ずいぶん違った景色が見られるようになる。そして、今あるものをどう組み合わせるか考えるのだ。

大抵の場合、異色な組み合わせによって生まれた創造物は、何かしらの「違和感」を抱えている。だから人の目につく。一方で、リミックスのやり方を間違えて、本当に「ただ気持ち悪いだけ」というものもあるから難しい。名古屋めしがある背景には、おそらく数えきれないほど多くの「うわあ、それ食べられない」という失敗リミックスのメニューがあっただろう。

しかし、創造的なイノベーターは、失敗を恐れない。常に問題意識を抱えて、新しい価値を生み出そうとするのだ。

台湾ラーメンは「破壊的イノベーション」

台湾ラーメンは、唐辛子で真っ赤なスープに、中太ストレート麺、ひき肉、ニラがたっぷりのっているかなり辛いラーメンで、名古屋のご当地ラーメン的な存在である。元々は、名古屋市内の台湾料理店「味仙」という店で、まかないメニューだったものを商品化した。これは「破壊的イノベーション」に当てはまるだろう。

味仙は既存メニューをよりおいしくする事のみにとらわれていなかった。お客さんが「そのまかない、俺にも食べさせてくれる?」と言った時に、当初は完成度が低かったとしても、「これはイケる!商品化しよう」と実施できるかどうかが大きな分かれ目になるのだ。

美味しいとんこつラーメンをさらに美味しくしようとする場合に求めるのが「持続的技術」だとすると、台湾ラーメンは「破壊的技術」で、名古屋のラーメンに対する顧客の価値の基準を塗り替えたのだ。