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2012/12/26更新

ずる―嘘とごまかしの行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション)

281分

7P

  • 古典的
  • トレンドの
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つじつま合わせ仮説

私たちの行動は、2つの相反する動機づけによって駆り立てられている。私たちは一方では、自分を正直で立派な人物だと思いたい。だがその一方では、ごまかしから利益を得て、できるだけ得をしたい。では、ごまかしから利益を確実に得ながら、自分を正直で素晴らしい人物だと思い続けるには、どうすればいいのか?

私たちは「認知的柔軟性」という人間的能力のおかげで、ほんのちょっとだけごまかしをする分には、ごまかしから利益を得ながら、自分を素晴らしい人物だと思い続ける事ができる。この両者のバランスを取ろうとする行為こそが、自分を正当化するプロセスであり、「つじつま合わせ仮説」と名付けたものの根幹である。

つじつま合わせ係数

私たちは、絶対的に「罪深く」ならない程度にごまかしをする、自分なりの限界を定めている。例えば、自宅のプリンター用紙を職場から持って帰る事はしても、職場の小口現金用の現金箱から3.5ドルくすねる事はない。ごまかしに影響する要因には次のようなものがある。

①利益相反
どんなに正直な専門家でも、偏った誘因のせいで道を踏み外す事がある。ex.ロビイスト、MR、弁護士、医者など

②消耗
意志力は、繰り返し使われる内にいつしか消耗してしまう。つまり、あらゆる誘惑に対して、一日中「ノー」を言い続けると、誘惑に抗う力が弱まっていく。

③一つの反道徳的行為
偽物と知りつつ、そのブランド品を身に付けると、道徳的な抑制力が弱まり、その結果不正の道に歩を進めやすくなる。人はいったん自分の規範を破るようになると、自分の行動を抑えようという努力をずっと放棄しやすくなる。

④正当化の能力
人間には、自分自身をも欺く能力がある。人は自分のはったりを自分で信じるようになる事が多い。

⑤創造性
創造的な人ほど、自己の利己的な利益を正当化する、もっともらしい物語を考えだせる。

⑥他人の不正を目撃する
私たちは自分の行動の許容範囲を決める上で、他人の存在が重要である。私たちは自分と同じ社会集団の誰かが、許容範囲を逸脱した行動を取るのを見ると、それに合わせて自分の道徳的指針を微調整し、彼らの行動を模範として取り入れる。

⑦他人が自分の不正から利益を得る
人間には利他的なごまかしを好む傾向がある。

誰もがごまかしをする能力を持っている。またごまかしをする自分がなぜ不正直でも不道徳でもないのか、その理由を説明する物語を自分に語るのがうまい。さらに私たちは他人のごまかしに「感染」しやすい。

不正行為を減らすには、特に誘惑の瞬間に道徳心を呼び起こす手法が、効果が高い。私たちは、なぜ人が不正な行動をとるのか、それを理解する事から始めなければならない。