絞り込む
レッドオーシャンで生き残るには「選ばれる商品」より「選ばせる商品」にならなければならない。「選ばせる商品」は、明確な差別化ができている。
①ターゲットを絞り込む
『美ST』が「選ばせる商品」になれたのは、40代の美容誌というジャンルが「空白地帯」だったからである。
②他にはないメッセージを構築する
メッセージとは、新しいライフスタイルの提案かつ、新しい価値観の提示でなければならない。そのメッセージが絞り込んだターゲットに刺さった時に、価値観が揺れ動き新しいライフスタイルが生まれる。『STORY』の創刊メッセージは、「外に出なければキレイになれない」、『美ST』は「40代を本当に美しくするのは、衣食住より美食習」だった。
③無難な表現を選ばない
人の心に残るのは共感や賞賛、幸福感ばかりではない。その逆の感情も強く心に残る。賛否が明らかに分かれるような記事が雑誌にあると、その雑誌は途端に無視できない存在感を放つ。「美魔女」も賛否の分かれる言葉である。
④「共感と賞賛」という感情を刺激する
人間が他者に抱く感情には「同情→共感→賞賛→嫉妬」の4段階がある。女性月刊誌はすべて「共感と賞賛」を狙って作られている。『STORY』の表紙モデルだった黒田知永子さん等も、みんな「共感と賞賛」のアイコンである。
⑤共感性で絞り込む
「美魔女」は読者の代表をコンテスト形式でスター化したもの。読者モデルの発信する情報が誌面を通じて読者と共有される。『美ST』や『STORY』に登場する読者には必ず年齢と職業などの属性が併記される。それが、共感のベースとなる。
今までにないライフスタイルを生み出せると、ターゲットを「絞り込む」事ができ、新しい市場をつくる事に成功する。
巻き込む
新しい市場をつくるために大切なのは、社会現象化することである。
①「オーディエンス」を増やす
人がいきなりお金を出してくれる顧客になってくれる事は稀である。そこで大事なのは事前の「認知体験」である。この認知をどれだけ広げられるか、メディアで接触したオーディエンス(観客)がどれだけいるかが巻き込む最大の鍵である。オーディエンスに拡散するには、好意的なだけでなく、反感的なレスポンスも含めたノイズの発生が重要である。
②イベントを行う
「巻き込む」とは「参加させる」こと。オーディエンスを「参加させる」事ができれば、大勢の人たちに共有されるイベントになる。
③新しいトレンドを生み出す
「ブランド力」「話題性」「リアル」「ウェブ」の4つの条件が揃えば、必ずブームは起こせる。美魔女コンテストは、雑誌メディアにコンテストというリアルイベントを組み合わせ、SNSでユーザーを巻き込み、マスメディアで広く拡散する戦略であった。