iDisorderの兆候と症状
①自己愛性パーソナリティ障害
メディア利用に多くの時間を費やしている人は、世代を問わず自己愛傾向が高い。インターネットでは、様々な自己愛表現を行いやすい。ブログ、SNSなど文章を書けるし、動画、写真共有サイトに簡単に動画や写真を投稿できる。
②強迫神経症
機器が好きで長時間ネットサーフィンをし、ソフトウェアや携帯アプリを頻繁に使用する。大事な情報を逃さないか不安で、インターネットや携帯電話から目が離せない。私たちは絶えずハイテク機器を使い、大切な情報を逃しはしないかと不安に駆り立てられている。
③依存症
インターネットや携帯電話の過剰な使用には、ドラッグやアルコールなどの薬物中毒と類似性があり、金銭問題、失業、人間関係の破綻をもたらすといった研究報告もある。
④双極性障害
私たちが、テクノロジーと関わることによって、うつ病や躁病の症状に似た兆候を示していることは明らかである。私たちは「感情伝染」によって他者の気分に影響される場合がある。伝染のもととなる他者の気分は、様々な電子的手段を通じて伝えられる。
⑤ADHD(注意欠陥/多動性障害)
今どきの電子機器は、長時間1つのことに集中していられないようにできている。私たちの脳はマルチタスクが増えるほどストレスと負荷を感じ、結果としてどのタスクもうまく行えなくなる。
iDisorderの対策
iDisorderを避けるために、テクノロジーの使用を止めることは現実的ではない。最善策は、テクノロジーの適度な使用、つまり、バランスである。
①脳をリセットする
研究では、ほんの数分間、自然に触れるだけでストレスが減り、情報処理能力が高まることがわかっている。また、音楽を短時間聞くだけで脳がリセットされる。他にも、熱い風呂、大声で笑うことも脳の回復を早める。
②気が散る対象を取り除く
マルチタスクの頻度を少なくし、目の前の作業に集中しやすい環境を作る。作業環境から気が散る対象を排除する方法には、デジタルダイエット、IT断食などがあるが、実践は簡単でない。バランスが大切である。
③テクノロジー休憩を利用する
テクノロジー休憩では、仕事に集中する時間と、テクノロジーを使う時間を設定する。タイマーをセットし、アラームが鳴ったら携帯電話やノートパソコンをチェックする。
④印象操作2.0
自分がインターネット上に書き込んだ内容から、他者が受け取る印象を操作する一方で、「ソーシャル・キャピタル」を調整する。
⑤コンテキストに注意を払う
電子的コミュニケーションでは、相手は見えないが、相手が身体と心を持つ存在だということを忘れない。メッセージの送信、投稿前に5分間の待機時間を作る。