給与が上がらない時代にどのようにして給与を増やせば良いのか?
ブラック企業、業績悪化企業、職種、業界別にどのように給与を上げれば良いかという方法を解説している。
■昇給ゼロの時代
日本の会社の4社に1社が去年、昇給しなかった。さらに残る3社の内、2社では昇給額は5000円未満。もし君の給与が5000円以上増えたなら、なるべくその会社で働き続ける方がいい。
給与が増えなくなった理由は次の2つ。
①人件費がコストとして管理されるようになった
高齢化や競争激化に伴い、業界全体で売上が減る構造不況に陥った企業は、存続のために聖域と言われていた人件費まで変動させねば立ちいかなくなった。
②人を相場の給与で入れ替えられるようになった
今や全年代、全職種で転職が可能になり、企業側は新卒から育てなくとも、他社で育った人を雇えば良くなった。そして、転職市場によって「給与の相場」ができてしまった。
誰でも何もしなくても会社が終身雇用の檻で君を守り、年功で給与を増やしてくれる会社はどんどん減っている。その傾向は、日本で高齢化が進む限り戻ることはない。
■希望は人事制度の中にある
多くの人事制度改革の結果、ほとんどの企業で評価結果は少なくとも本人には伝えられるようになったし、評価の結果も報酬に反映されるようになった。評価者の意識が以前と変わっていない状況では、評価そのものが不公平であるという指摘はある。それでも、評価がないよりは評価がある方がマシである。人事制度を使いこなす方法は、次の通り。
①人事制度の説明会ではメモを取り、しっかりと内容を確認する
②人事制度の運用について思いがいたるように上司に繰り返し質問する
「新しい評価制度だと、私の行動ってどう評価されるんでしょうか」「うちの部署だと、誰が新しい評価制度で高い評価になるんでしょうか」といった質問を繰り返す。その結果、上司は「制度をちゃんと使わなければいけないな」という義務感を持ち、さらに「こいつには適当な評価はできないな」というゆるやかな恐怖心を持つ。但し、これは行き過ぎると反感になるので、1、2ヶ月に1回しか質問してはいけない。
③上司の評価シートの項目を意識する
今の仕事が最終的にどういう結果につなげなければならないかをはっきり意見しながら仕事を進める方が昇進しやすい。
④研修を使いこなす
研修を数多く受けることには、次の意味がある。「新たな知識を得る」「やる気を上司に知らせる」「潜在的な転職力を高める」
⑤給与の天井を知る
今の会社で頑張り続けるのか、転職するのか、あるいは独立するのかといった、どんな選択をするべきかが明確になる。そして準備ができる。
給与の天井を超えるためには、次の2つのことが大切である。
・評価する側の感情を理解して行動しよう
・評価基準の仕組みを理解して、効率的に行動しよう
著者 平康 慶浩
1969年生まれ。セレクションアンドバリエーション 代表取締役 アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)、アーサーアンダーセン(現プライスウォーターハウスクーパース)、日本総合研究所を経て現職。 外資系コンサルファーム二社では、企業業績向上のための組織の効率化と人材行動変革に携わる。各種メーカー、商社、飲食チェーンなどで特に業績と連動した組織と個人の評価の仕組みを構築。大企業から中堅・中小企業まで幅広く組織・人事の改革を手掛ける。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
マインドマップ的読書感想文 smooth |
エコノミスト 2012年 11/20号 [雑誌] |
日経ビジネス |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.3 | 4分 | |
第1章 給与が増えなくなったのは君だけじゃない | p.15 | 19分 | |
第2章 君の給与を増やすための基本ルール | p.45 | 30分 | |
第3章 業種別の給与の増やし方 | p.91 | 40分 | |
第4章 職種別の給与の増やし方 | p.153 | 19分 | |
第5章 二重苦企業から脱出したい君へ | p.183 | 6分 | |
第6章 希望は人事制度の中に必ずある | p.193 | 17分 | |
第7章 ハケン・アルバイトから抜け出せない君へ | p.219 | 9分 | |
おわりに | p.233 | 1分 |