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2012/12/02更新

大きく、しぶとく、考え抜く。―原田泳幸の実践経営論

146分

8P

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マクドナルドの実践経営論

日本マクドナルドCEOの原田氏による実践的な経営論。
データ分析ばかりではなく、現場を見ろ、商売の感覚を磨けといった実際の経験からビジネスの本質を語っています。


■新しい成長を生み出す
2005年から始めた「100円マック」は、「かつての値下げ戦略と同じだ」「利益を度外視している」など、マスコミからも叩かれたが、新しいマクドナルドのファンが生まれ、成長戦略の土台ができ上がった。その後、「えびフィレオ」や「クォーターパウンダー」など新メニューの投入で、客単価も戻った。同時に24時間営業の拡大・改良などの手も打ったことで、8年連続既存店売上プラスを果たした。

さらに売上を上げていくためには、もう一度客数を増やし、顧客基盤を作り上げる必要がある。そして、客単価を上げなければ次の成長はない。2012年から始めた新戦略では、100円、250円、500円と、3つの価格帯を同時に打ち出した。100円メニューは前回より質が上がっている。250円、500円はセットメニューで値段が高いほど、お得感が高まるようにした。250円は吉野家などの牛丼、500円はコンビニのお弁当と、ランチで競合する市場を標的とした。

テレビCMの予算を高価格帯の商品から、100円商品のCMだけに逆転させた。常に成長の土台をつくる商品は必要である。

超短要約

■マーケティングで驚かせる
顧客心理というものは難しいもので、商品が優れているからといって必ず売れるものではない。2008年に発売したクォーターパウンダーは商品力があるが、食べたことのない人を驚かせることは難しい。だから、いかにマーケティングで驚かせるかということで、発売イベントの店ではマクドナルドの看板を消した。マクドナルドの顧客獲得率は40数%だから、マクドナルドの看板がかかっている以上は半分の人が来ないからである。

■0.5秒で伝える
マクドナルドの顧客の購買行動は、お店の前を通ったその瞬間、瞬間で決まるので、お客様に考えさせてはいけない。だから、社員には「お客様は0.5秒以上時間を使ってくれない。いかにその間に、お客様の購買行動を促すかが大切だ」と言っている。

ブランドはトップの意思やこだわりを反映する。だから、「難しいことを考える必要はない。0.5秒の世界なので、素直に、誠意を持って、おいしければおいしいということを、誰よりも情熱を持って発信し、それを感じてもらえるように作りなさい」と言っている。

■お客様を「ワーォ!」と言わせる
マーケティングでこだわることは、「ベストを尽くす」「一流を目指す」「妥協しない」の3原則である。だから、新メニューのレビュー会議では「グッドだけど、グレートじゃないね」と返事するケースが多い。とにかく新メニューを食べたお客様に「ワーォ!」と言ってもらわないといけない。

最近の若い人はまじめで優秀だが、パワーが感じられない。マーケティング理論はあるが、その通りには動かない。とにかくお客様にびっくりしてもらおうという情熱を持たないと商品は売れない。

■独自性は強すぎず弱すぎず
商品企画で、独自性が強すぎて成功しないという失敗事例はいっぱいある。あまり独自性が強すぎると、消費者に定着するまでにものすごい投資と時間がかかるし、一方、コモディティに偏り過ぎると、価格戦争にしかならない。すなわち、その真ん中のところにあるコモディティでありながら、お客様が慣れ親しんだ食のスタイルであり、独自性を持ったものがヒット商品になる。

その一例が「メガマック」や「クォーターパウンダー」。逆に独自性が強すぎて失敗した典型的な例は「マックラップ」である。また、サラダも失敗した。よくある失敗の原因は、消費者が望む事と購買行動は必ずしも一致しないこと。

社員やお客様が言っていることを、頭のいい人はどこかの知識と経験で判断して成功すると思っているが、ビジネスはそんなにやさしいものではない。

著者 原田 泳幸

1948年生まれ。1997年にはアップルコンピュータ日本法人の社長兼米国本社副社長にまで上り詰めたが、全くの畑違いに思われるマクドナルド(日本マクドナルドホールディングス)の社長兼CEO(最高経営責任者)に身を転じた。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
まえがき p.7 4分
第1章 新しい成長を生み出す p.15 13分
第2章 マーケティングの「感覚」を磨く p.41 18分
第3章 人とブランドを育てる p.75 20分
第4章 「価値」を創出する p.113 13分
第5章 「現場」「現実」に学ぶ p.139 13分
第6章 戦略とリーダー p.165 9分
第7章 スティーブ・ジョブズの教え p.183 12分
巻末対談 「世界」で勝つ原田泳幸×柳井正 p.207 10分

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