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社会的目標を伴うビジョンと揺るぎない価値観

イケア最大の強みは、「より快適な毎日を、より多くの方々に」という社会的目標を伴ったビジョンにある。イケアは、裕福な人にしか買えなかったような質の良い商品を、他の皆にも手が届くようにしようとした。こうしたイケアの理念は以下のように形になっている。

①価格設定
利益をあげると同時に手頃な価格にするという財務モデルは、会社のビジョンに沿っている。イケアは粗利益の改善を重視せず、その代わりに売上高を伸ばそうとした。製品の仕入れ原価を抑える方法を粘り強く探し、コストを最低限に抑え、その結果を消費者に還元した。

②機能性
自宅での毎日の暮らしを本当に心地良いものに変えるアイデアの方が、凝ったデザインよりも優先される。機能性を犠牲にしたデザインは、長い目で見ると顧客喪失につながる。だからこそ、イケアは収納問題に力を注ぐ。

③顧客の参加
顧客は欲しい商品を選び出して代金を払うだけでなく、配送から組立までを引き受ける。このシステムを用いることでイケアはコストを抑え、さらに販売価格を下げることができる。

社会的ビジョンは、会社の日々の行動において実現され、反映されているのでなければ意味がない。ある会社が顧客、従業員、サプライヤー等と深く長く続く関係を築きたいなら、何をするかだけでなく、どんな会社がどんなやり方で行うかが重要となる。真意に基づくビジョンと価値観が形成されると、それらは会社の進む方向、戦略、行動に決定的な影響を与える。さらに、従業員を惹き付け、各人が能力を最大限に発揮するように働きかける原動力となる。また、会社と顧客との間に絆を育む。

バリューチェーン管理を通じた差別化

当然ながら、利益と成功を導く秘訣は差別化だ。多くの小売店は差別化を目標としながらも、結局は皆と同じことを多少うまくやるか、立地の良さでわずかな優位性を獲得する事で辛うじて利益を確保している。小売店におけるイノベーションは、大抵真似しやすく、差別化の効力は長続きしない。小売業者が大きな成功をおさめるためには独自の商品レンジを持ち、開発、製造から販売までのバリューチェーン全体を管理下に置く必要がある。

イケアは、バリューチェーン全体を管理する事で、次の5つすべてを実現し、長期にわたる優位性を手にしている。

①デザイン、機能性、値段の割に質が高い(圧倒的なコストパフォーマンス)
②ユニークな北欧風デザイン(よそにはない製品)
③インスピレーション、アイデア、解決策(住まいに関わる問題解決)
④一カ所ですべてが揃う(利便性)
⑤充実した買い物体験(楽しさ)

いくつもの基本的な顧客ニーズを満足させること、またそれを競争相手よりも優れた方法で実現することは、どんなビジネスにおいても成功の要である。