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IKEAに学ぶ優れた企業の作り方

家具メーカーIKEAの前CEOが、優れたビジネスの条件を解説。IKEAの経営哲学からビジネスモデル構築のヒント、社会貢献のあり方などを紹介しています。


■優れたビジネスの4つの礎
企業はただ単に株主に利益を還元するのではなく、より広い意味での価値を提供しようと努めるべきだ。企業には利益追求を超える社会的使命がある。小売企業が真の価値を提供するために必要な条件は4つある。

①社会的目標を伴うビジョンと揺るぎない価値観
②取扱商品の幅と価格が競争上の主な差別化要因となるビジネスモデル
③市場リーダーシップ、会社の短期的・長期的目標を決定づけるグローバルな市場ポートフォリオ
④献身的なオーナーによる会社の統率

これら4つの礎はお互いに関連し合い、補い合っている。ビジョン、価値観、オーナーによる会社の統率はビジネスモデルとグローバル化の道筋を大きく左右する。それらはまた、単なる収益性の高い企業から一歩進んで、より良い社会に貢献する企業になるための必要条件でもある。

超短要約

■イケアのビジネスモデル
イケアは1943年から1972年までの30年をかけてビジネスモデルを築き、それから海外展開に踏み出した。イケアの出発点はマッチを売る一人の巡回販売員だった。彼はこのビジネスを通信販売会社に発展させ、時計から鉛筆まで様々な商品を取り扱うようになった。最終的に、この会社は家具インテリア製品の多国籍コンツェルンとなり、世界各地の店舗を通じて家庭生活に必要なあらゆるものを販売するようになった。

この道筋は、創業者イングヴァル・カンプラードの性格によって導かれた部分が大きい。コスト意識、決断力、意志力、現実に対応すること、あえて違うことをすること、常に刷新を追求すること、実現に向けて動き続けること、仲間意識、熱意、これらはイケアを形作ってきた価値観である。

イケアの取扱品目に家具が加わったのは1950年代。その理由は実に単純で、イケアが創業した町エルムフルト周辺に家具メーカーが多かったからである。家具を売るためには実物を見せる場所が必要になる。そこで会社は通信販売ビジネスを実店舗で補うことにし、1953年にエルムフルトに最初の家具ショールームを作った。家具はかさばり、輸送費がかさむ。この問題を解決するために、家具のフラットパック化が導入された。

1961年、低価格を売りにするイケアはスウェーデンの家具販売業者にとって無視できない脅威になり、販売業者は家具メーカーに圧力をかけてイケアをボイコットした。苦境に立たされたイケアはスウェーデン国境の外に出て、ポーランドに新たな製品調達先を見つけた。こうして、グローバルな製品調達がイケアのコンセプトの重要な要素として加わった。

1965年、ストックホルム郊外に無料駐車場つきの大型店舗を建てた。開店時のあまりの賑わいに、経営陣はやむを得ず倉庫を開放し、買い物客が自分で商品を運び出せるようにした。こうしてセルフサービスの倉庫が誕生した。

ここで重要なのは、会社の成長は厳密に計画されていたというよりも、巡り合わせたチャンスを活かすことでもたらされてきたという点だ。イケアの歴史における決定的な瞬間は、試練がチャンスに転じた時に生じている。

そこで際立っているのが次の2つのこと
①試練や問題を克服する能力
②リスクを負う意欲

事業を見直し、他社と同じことをするだけでなく、より良い方法を考えることで、イケアは競争上の優位に立った。イケアのビジネスモデルが発展してきた軌跡には、古典的な起業家精神が見事に表れているといえる。

著者 アンダッシュ・ダルヴィッグ

1957年生まれ。IKEA 前CEO 在任期間中、IKEAは店舗数を130から270に増やすと共に、売上を73億ユーロから213億ユーロに伸ばし、大成長を遂げた。また、企業の社会貢献の大切さを説き、自ら経営に大胆に取り入れた。2009年、その功績を認められ「オスロ・ビジネス・フォー・ピース・アワード(オスロ賞)」を受賞。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
プロローグ p.9 2分
前書き p.12 5分
第一章 優れたビジネスの四つの礎 p.19 4分
第一部 社会的責任を伴うビジョン p.25 6分
第二章 強くダイナミックな企業文化を保つ p.33 15分
第三章 多様性ー正しいビジネス選択 p.53 4分
第四章 環境目標 p.58 14分
第五章 市場の観点 p.77 5分
第二部 バリューチェーン管理を通じて差別化する p.84 12分
第六章 ユニークな商品レンジを構築する p.100 10分
第七章 低価格を実現するサプライチェーンを築く p.113 11分
第八章 小売店の効率化 p.128 5分
第九章 効果的な広報戦略 p.135 4分
第一〇章 「ひとつ」の会社として働く p.140 12分
第一一章 道をはずさない p.156 4分
第三部 市場リーダーシップ、そして p.161 7分
第一二章 市場戦略 p.171 3分
第一三章 ヨーロッパでの拡大 p.175 4分
第一四章 アメリカでの事業強化 p.180 4分
第一五章 ロシア、アジア太平洋地域での発展 p.185 9分
第一六章 ローカル企業か、グローバル企業か p.197 3分
第一七章 小売業のグローバル展開 p.201 4分
第四部 長期的な観点で築く p.207 9分
第一八章 財務 p.219 3分
第一九章 CEOの役割 p.223 10分
結論 良き企業としてビジネスを成功させる p.236 8分

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