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2012/12/14更新

ザ・チーム (日本の一番大きな問題を解く)

168分

5P

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日本には多様性が欠けている

日本にきて一番気になっているのは、海外と比べても、80、90年代の日本社会と比べても、社会全体が活力に乏しいことだ。若い人の仕事への取り組み方にも積極性が足りない。仕事に対する当事者意識がない人も多い。

既存の産業や企業ではじり貧だから、新しい産業、新しい企業が生まれることが日本経済の停滞脱出の有力な対策と言われている。しかし、イノベーションやアントレプレナーは容易に出てこない。

官庁や民間企業、研究機関を数多く訪れて、気付いた事は、官民を問わず、日本の組織がどれも驚くほどそっくりなことだ。企業の役員会はほとんど男ばかり、そんなオジさん達が女性向けの新製品を議論していた事もあった。セキュリティの会議に呼ばれた時も、出席者は男ばかり、全員グレーのスーツ姿だった。出身大学も出身高校も同じと思えるほど似た人間が集まって、人種も宗教も職業も違う世界中のハッカー相手の対策を考えていた。

日本の組織に多様性が欠けていることが、この国の問題解決の大きな支障になっている。同質化した集団は、キャッチアップする時代には向いていたが、イノベーションで戦っていかなくてはならない今のグローバルな世界に向いていない。多様性を欠いた同質集団の失敗が、東日本大震災と福島原発事故への対応だった。

与えられた事、決められた事を間違いなく処理するための組織では、前例のない事や新しい試み、リスクのある事は極端に嫌われるし、失敗が許されない。稟議システム、何も決めない会議、コミュニケーションの膨大なムダと仕事のルーティン化によって、組織の硬直化が進んでいる。組織そのもの、組織と組織の関係を、チームへと変える時期が来ている。

問題はチームがないこと

日本にも男女のサッカー日本代表など素晴らしいチームは存在する。しかし、日本社会全体を見渡すと、チームの姿が見えなくなる。立派な組織はあるが、それらはグループであってチームではない。

グループは、あらかじめ決められた目標を遂行するために集められる。個々のメンバーは目標の立案には必ずしもコミットしていない。提案や創造性の発揮は求められていない。反対意見はグループの分裂につながり、容認されない。

これに対し、チームでは互いに助け合い、補い合う事で目標が達成されることをメンバーが理解している。メンバーは主体的にやろうとオーナーシップを持っている。自由に意見を言い合って、衝突を怖れないし、むしろアイデアが生まれるチャンスと見る。

チームの前提条件は、お互いの弱みを知っていること。本音でお互いの弱点や失敗談を話すことによって、自然に信頼感が生まれてくる。そうなれば、衝突が発生しても、相手の発言の背景もわかるようになる。その衝突の摩擦からイマジネーションが生まれ、良いアイデアが出てくる。