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2012/11/14更新

結局、どうして面白いのか ──「水曜どうでしょう」のしくみ

170分

7P

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『水曜どうでしょう』を知らない人にはオススメしません

北海道ローカル番組から全国区へと瞬く間に拡大した、超人気番組『水曜どうでしょう』が、なぜ面白いのかを分析している本。番組のディレクターへのインタビューを載せながら、その仕組みを解き明かしています。

『水曜どうでしょう』を見ていない人には、まるで役に立たないであろう1冊。


■ホッとする番組?
『水曜どうでしょう』はずいぶんと不思議な番組である。その番組を見た人たちが感じる感想は、「面白い」というものはもちろん、「ホッとする」というのもかなり多い。

男4人が狭苦しい車内やら交通機関やらで移動を繰り返し、時にののしりあい、時にバカにしあい、優しい言葉をかける人の一人がいる訳でもなく、人を和ませるような温かいエピソードがある訳でもない。出演者が料理を作ればまずいとののしりあい、自然の中に出かければ嫌だ嫌だとごねる。人をホッとさせような要素を、わざわざ排除しているのではないかと考えたくなる。

しかし、確かに我々はホッとしている。これはなぜか?

超短要約

「水曜どうでしょう」の面白さは人に説明しようと思うとなかなかできず、突き詰めて考えるととてもわかりにくい。実は「面白さがわかりにくい」のではなく、「わかりにくいから面白い」ということが言える。

今の世の中では「わかりやすい」ことが求められる場面がとても多くなってきている。簡単に説明すること、わかりやすく説明することが当たり前のように求められる。しかし、この「わかりやすいこと」はコミュニケーションを終わらせ、話を閉じる機能を持つ。そうすると、また次の「わかりやすいこと」を求めざるをえない。わかりやすいものを求める時、我々はそうやって次々と始めては終わり、始めては終わり、ということを延々と続けることになる。

「面白いもの」を目指そうとすると、その面白さ自体が減ってしまう。「面白いもの」を目指すということで始めてしまうと、「始めた時点で考えていた面白いこと」に囚われてしまう。

あるところから動き始めていろいろな事が起こるにつれて、もっと別の面白さが出てきたり、始めに思っていたことが起こるにつれて、もっと別の面白さが出てきたり、始めに思っていたことが意外に面白くなかったりという事が出てくる。

そういう時に初めに思ったことに囚われてしまうと、みすみすもっと面白くなるかもしれないことを見逃したり、思ったほど面白くなかったことを捨てられなかったり、という、もったいないことが起きてしまう。

著者 佐々木玲仁

1969年生まれ。九州大学大学院人間環境学研究院准教授 臨床心理士 京都文教大学臨床心理学部専任講師を経て現職。専門は心理療法における描画法、臨床心理学研究法など。2009年日本心理臨床学会奨励賞受賞。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
はじめに p.4 8分
第1講 物語の二重構造 p.19 22分
第2講 世界の切り取り方と世界までの距離 p.57 26分
第3講 偶然と反復 p.103 23分
第4講 旅の仲間のそれぞれの役割 p.143 30分
第5講 結局、どうして面白いのか p.195 10分
第6講 「水曜どうでしょう」とカウンセリング p.213 12分
おわりに p.234 3分

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