東京駅、大阪駅、羽田空港のリニューアル、東京スカイツリーの開業。それら公共施設には、ショッピングモールが併設されている。
現在の都市の変化は、ショッピングモールと関連があると説き、ショッピングモールの歴史や思想について語っている。
■都市の機能への競争原理の導入
ここ10年、土地や公共スペースを有効利用しようという考え方により、些細なものでありながら、量としては膨大な都市の変化が生じている。その事例には以下のようなものがある。
・コインパーキング、トランクルーム
・病院の中のスターバックスコーヒー
・民営化後の高速道路のサービスエリア
土地の有効利用というのは、競争原理の導入という事とほぼ同じ意味を持っている。つまり、ここ十数年の都市の変化とは、都市の機能への競争原理の導入であると考えられる。
東京駅、羽田空港新国際ターミナル、東京スカイツリー。これらは、ここ数年の間に大規模リニューアル、もしくは新設された都市のインフラである。この3つの施設には「ショッピングモールとしてリニューアル、建造されている」という共通点がある。
これら施設と同じように、JR大阪駅は、ひと足はやく「大阪ステーションシティ」という複合商業施設=ショッピングモールになっている。
■ディズニーの夢
晩年のウォルト・ディズニーは、熱心にショッピングモールの視察旅行に出かけていた。この時代、まだ歴史の浅い存在であるショッピングモールにウォルトが並々ならぬ関心を寄せていた理由は、晩年のウォルトの夢と結びついている。彼が最後に手掛けようとしていたのは、人々が生活を送る都市そのものを自ら設計し、造成することだった。
彼は、60年代当時の大都市が失ってしまった古き良きアメリカの共同体を取り戻そうと考えていた。ウォルトが危惧した当時の都市問題は、1950年代以降に移民と自動車が原因で、目立ち始めていた都市中心部の荒廃である。これは、古き良きコミュニティの崩壊をもたらすものでもあった。
ウォルトの夢見た都市は、犯罪も交通渋滞もなく、人々は皆顔見知りで構成され、和気あいあいと暮らすことができる場所である。その都市は、中心から等距離の同心円状に拡がっている。商業地区と居住地区は分離され、さらに居住地区は、高密度と低密度に分かれていた。そして、それぞれの層はモノレールによって結ばれている。
ウォルトが晩年にショッピングモールを視察して回ったのは、この都市の中央に置く核施設として、ショッピングモールのようなものを作りたいと考えていたからである。
ショッピングモールは、単なる商業施設ではない。その背景には、思想と理念があった。そして、それは都市やテーマパークといった存在との関係性、結び付き抜きには語れないものである。
著者 速水 健朗
1973年生まれ。ライター、編集者 大学在学中よりアルバイトしていたアスキーにて契約編集者を務めた後、2001年よりフリーランスとして活動中。専門分野は、メディア論、都市論、ショッピングモール研究など。TBSラジオ『文化系トークラジオLife』にレギュラー出演中。
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![]() 土井 英司 |
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章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
まえがき | p.5 | 4分 | ![]() |
第一章 競争原理と都市 | p.21 | 20分 | ![]() ![]() ![]() |
第二章 ショッピングモールの思想 | p.61 | 23分 | ![]() ![]() ![]() |
第三章 ショッピングモールの歴史 | p.107 | 24分 | ![]() |
第四章 都心・観光・ショッピングモーライゼーション | p.155 | 30分 | ![]() |
あとがき | p.216 | 2分 | ![]() |
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