スティーブ・ジョブズ (2001年3月放送)
Q:途中でやめようと思ったことはありましたか?
A:かなり厳しい時期はありました。でも、やめようと思ったことはありません。最初の2年は本当に苦労しました。
一番大切なことは、何かを新しく始めるならば、それだけの情熱を持っていなければならないということです。なぜなら、本当に大変なことだからです。情熱がなければ、途中で諦めることになってしまいます。成功する人としない人との大きな違いは、諦めるかどうかにあります。
Q:最初にパソコンを作った1957年当時、そのようなものはまだありませんでしたね。
A:なかったから作ったんです。自分たちが欲しかったからです。
Q:初めてパソコンを作った時、これほど大きな産業になると思っていましたか?
A:そうと気づくまでに1年くらいかかりました。最初は自分たちのために作ったんですが、それを友達に見せたら、みんな欲しがったんです。それで友達のために手作りをするのが忙しくて、もうそれだけで一日が終わってしまうんです。それなら大量生産しようじゃないかと。最初から会社を作るつもりだった訳ではありません。
Q:日本の企業は、社員にベンチャー精神を吹き込むことに大変苦労しています。どうすればあなたのようにできるのでしょうか?
A:うちの会社では非情に優秀な人間を雇います。ですが、組織はとてもシンプルにしておき、自分達が得意なことに焦点を絞ります。それは簡単なことではありません。焦点を絞るのはイエスということではなく、ノーということだからです。つまり、我が社ではたくさんのことをしないという決断をします。そして、ごく限られたことに集中するのです。
Q:様々な携帯端末が登場していますが、それでもパソコンが主役であり続けると考えるのはなぜでしょうか?
A:例えば、インターネットには感情がないのです。私たちが常に感じてきたことは、アップルは技術と人間性との交差点でありたいということなのです。パソコンという道具に人間性の要素を盛り込みたい。知性の面だけでなく、人間の他の面でも役に立つようにしたいのです。
Q:なぜ今、パソコンに感情的な要素が必要なのでしょうか?
A:人生ではいろいろな力が働き、私たちを画一的な型に押し込めようとします。そして、私たちは自分が、とても個性的な存在で、独自の感情や考えを持っていることを忘れてしまいがちです。パソコン業界も人間的な側面を忘れ、技術だけに焦点を絞っています。
アップルではコインのもう片方の面を考えています。パソコンを使って、表計算やワープロ以上のことができないか。あなたが自分をもっと良く表現する手伝いができないか。音楽、映像、写真などで、人は自分をもっと豊かに表現したいと思っています。