組織が健全になるためには、4つの規律が必要である。
結束力のあるリーダーシップ・チームをつくる
組織を健全にするには、リーダーシップ・チームがまず結束力を高めなければならない。これは絶対条件である。リーダーシップ・チームとは、組織のために共通の目標を達成する連帯責任を負う少人数の集団である。結束力のあるチームをつくるには、次の行動原則を採り入れるべきである。
①信頼を築く
各人がチーム共通の利益のためプライドや恐れを捨て、自尊心を犠牲にする覚悟が必要。全員が弱みを見せ、自分がどういう人間か明らかにすることで信頼を築く。
②衝突に熟達する
信頼があれば、衝突は考えうる最善の答えを求める試みになる。二人の人間が重要な活動に取り組んだら、見解の相違から対立が起こるのは当然。必要なら激しく異議を唱えること。
③実行責任を果たす
「合意しないが、実行責任を負う」という主義を採用する。全員が自由に発言し、各自の意見を討議することで、リーダーが自信を持って重要な責務を果たすことが大切。
④説明責任を追及する
決定を固守し目標を達成するためには、メンバーが互いに説明責任を追及しなければならない。
⑤結果を重視する
各自の部署より、リーダーシップ・チームを優先するように求める。
透明性をつくり出す
混乱や無秩序や内部抗争が入り込む余地がないほど透明性を高めること。組織の透明性を確保するには、重要な6つの質問に経営陣が同じ答えができるようにしなければならない。
①我々はなぜ存在するのか?
②我々はどうふるまうのか?
③我々は何をするのか?
④我々はいかにして成功するか?
⑤現時点で一番重要なことは何か?
⑥誰が何をするか?
専門用語や取り繕った表現を使わずに、一致した明確な答えを出すこと。
透明性を浸透させる
6つの重要な質問に一致した明確な答えが出せたら、それらを組織に伝える。伝えたことを実行に移させるには、一定期間、様々な状況で、繰り返し伝えるしかない。だから、偉大なリーダーは従業員にメッセージを思い出させるリマインダーの役割を果たさなければならない。
メッセージを組織に浸透させる最善の方法は、それについて噂を広めること。そして、組織を一つの方向に動かす効率的な方法は、経営陣が会議で決定したことを明確なメッセージとして直属の部下に迅速に伝え、彼らにそれを自分の部下に迅速に伝えさせることである。
透明性を高める
6つの重要な質問に対する答えを組織に浸透させるには、それを強化する人事システム(採用、人材管理、社員教育、報酬等)を構築する必要がある。最大の課題は、組織を官僚主義に陥らせず、文化を制度化しなければならないことである。