競争優位をもたらす企業の特徴として、組織の健全性を挙げる。
どのように組織の健全性を獲得すれば良いか、そのプロセスを解説している。
■「組織の健全性」こそが競争優位をもたらす
どんな会社でも獲得できる唯一にして最大の競争優位は組織の健全性である。
組織の健全性は、戦略、財務、マーケティング、テクノロジーを始め、組織内で起こるすべてのことに一貫した脈絡を提供する。だからこそ、組織の成功を決定づける唯一にして最大の要因なのである。組織の健全性が正しく理解され、正しい脈絡の中に置かれたら、ビジネスにおけるいかなる規律よりも効力を発揮し、競争優位のチャンスを提供してくれる。
■なぜ組織の健全性が重要なのか
最大限の成功を望むなら、組織は2つの基本的特性を備えなければならない。
①賢明さ:戦略、マーケティング、財務、テクノロジー
②健全さ:最小限の社内政治・混乱、高い勤労意欲・生産性、低い離職率
賢明さは必要条件の半分でしかない。それなのに、ほとんどの経営陣の大半の時間とエネルギーと注意を占めている。健全性は知性の乗数と考えるとわかりやすい。健全であればあるほど、組織は持てる知性を一層活用できる。
今日では、大多数の組織が成功をおさめるために必要な知性や専門技術や知識を持っている。足りないのは、組織の健全性である。
■組織の健全性を獲得する方法
どんな会社でも獲得できる唯一にして最大の競争優位は「組織の健全性」である。組織の健全性を獲得するには、まず少人数のリーダーシップ・チームを作り、各メンバーが弱みを見せることで、結束力を高める。その上で、以下の6つの質問に対する明確な答えを見つけて、組織に浸透させることが必要である。
①我々はなぜ存在するのか?
②我々はどうふるまうのか?
③我々は何をするのか?
④我々はいかにして成功するか?
⑤現時点で一番重要なことは何か?
⑥誰が何をするか?
■優れた会議は結束力と透明性をつくり出す
長年にわたって健全性を維持するには「会議」が中心的な役割を担うことになる。価値観を確立し、議論し、活かすのは幹部会議であり、戦略や戦術に関する決定を審査し、下し、検討するのも幹部会議である。いい会議は結束力と透明性とコミュニケーションを生み出す。
会議を開くにあたっては、次の点に注意することが大切である。
①異なるテーマを一度に議論しない
②4種類の会議を開き、効率的なものにする
・毎日のミーティング(5ー10分) 管理上の問題を確認
・戦術幹部会議(週1回45分ー90分) 各部の最重要課題を討議
・テーマ別会議(月1回2-4時間) 長期的影響を及ぼす問題等の深堀り
・オフサイトミーティング(四半期1ー2日) 戦略、業績評価等の検討
経営陣の最優先事項は、他の人間がメールや分析、顧客訪問といった活動のできる環境をつくり出すことであり、効率的な会議を開かない限り、それを実現することはできない。
著者 パトリック・レンシオーニ
テーブル・グループ社長 組織と経営チームの強化育成を専門とする、経営コンサルティング会社、テーブル・グループ創業。サイベース、オラクル等のソフト開発会社に長年勤務し、現在に至る。
帯 サウスウエスト航空名誉会長 コリーン・バレット |
帯2 シマンテック元社長兼CEO エンリケ・セーラム |
帯3 作家 デイヴ・ラムジー |
TOPPOINT |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
序 | p.2 | 3分 | |
組織の健全性が重要な理由 | p.6 | 12分 | |
四つの規律 | p.24 | 3分 | |
規律1 結束力のあるリーダーシップ・チームをつくる | p.28 | 49分 | |
規律2 透明性をつくり出す | p.97 | 59分 | |
規律3 透明性を浸透させる | p.180 | 11分 | |
規律4 透明性を高める | p.195 | 17分 | |
優れた会議が果たす役割 | p.219 | 14分 | |
競争優位性を手に入れる | p.238 | 4分 | |
組織の健全性のチェックリスト | p.244 | 4分 |
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