目に見えないサービスを売るための方法を書いたマーケティングの古典。価格設定の方法から、ネーミング、ブランディングのコツ、広告宣伝の方法まで、マーケティングのノウハウが詰まっている。
原書は、15年以上前に出版されているが、現在でも十分に通用する原理原則が書かれている。
■これからのマーケティングに必要なこと
成功しているマーケターは、製品やサービスの特徴・メリットの宣伝よりも、顧客との関係を重視している。顧客の目にどう映るかを常に意識し、実情に目を向け、改善に努める。
時間に追われ情報過多の世の中にあっては、売り手の声に耳を傾けてもらうことも、言い分を理解してもらうことももはや不可能に近い。そして、複雑さを増す一方の現代社会において単純明快さに勝るものはない。これからのマーケティングは、消費者がサービスに不安を抱えていること、時間に追われていること、合理的でない決断を下す傾向があることを理解し、彼らが買いたくなる動機やニーズを把握しなければならない。
■「適性価格」の定め方
価格について誰にも文句を言われないなら、それは安すぎる。反対にこぞって文句を言われるなら高すぎる。ちょうどいいのは、15〜20%の人から文句を言われるくらい。世の中、どんな価格でも文句を言う人が10%近くはいる。文句が、全体の25%を超えるようであれば、見直すべきだが、価格設定には多少の抵抗があった方がいい。
価格を設定する場合、中間の価格は禁物。「質が高い訳でも価格が安い訳でもありません。そこそこのサービスをそこそこの価格で提供しています」というメッセージを発することになる。
一方、低価格をウリにするのも注意が必要である。いくら安さを訴えても、消費者は、同じサービスをさらに安く手に入れる方法を必ず見つける。安さで競おうと頑張っても、その努力はほとんど報われない。
■失敗しないネーミングのコツ
意味のないものは人の記憶に残らない。だから、意味のない頭字語は覚えられなくて当然。こうした社名を採用する原因は、IBMにあるが、IBMはその社名で成功したのではない。
脳が一番覚えやすいのは「珍しいもの、五感に訴えるもの、独創的なもの、目立つもの」。独自性ある会社だと思ってもらうのは欠かせないため、ありふれた名前は避けること。
■大金を無駄にしない宣伝と販売の方法
①サービスの内容を具体的に消費者に見せること
②消費者に安心感を与えること
③メッセージを1つに絞ること
④メッセージを発信したら、それを繰り返し伝えること
⑤物語を語ること
⑥素晴らしさの証明になるものを見せること
⑦語り過ぎないこと
⑧覚えやすい「顔」を作ること
⑨サービスを提供する生身の人間を見せること
⑩買うべき理由を一言で明確にすること
⑪強烈な印象を与えること
⑫使い古された文句を使わないこと
⑬顧客を知り、顧客を話題にすること
⑭幸せそうで希望に満ちたものを売ること
著者 ハリー・ベックウィス
ベックウィス・パートナーズ創業者 マイクロソフト、GM、ターゲットなど、フォーチュン500企業の20社以上を顧客に持つほか、ベンチャー企業のマーケティング戦略も数多く手がける。 また、マーケティングおよびブランディングをテーマとした講演活動も世界各地で精力的に行っている。
帯 マッケイ・エンベロップ・カンパニー会長 ハーヴィ・マッケイ |
帯2 元マリオット・インターナショナルVP兼ジェネラル営業マネジャー ロジャー・ダウ |
帯3 元ノースウエスト銀行CEO ディック・コヴァセヴィッチ |
帯4 作家 バーバラ・ウィンター |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに―誰もがサービスを買う時代に | p.4 | 5分 | |
1章 「サービスをマーケティングする」とはどういうことか | p.20 | 12分 | |
2章 利益に貢献するリサーチの実施方法 | p.39 | 6分 | |
3章 社員はすべてマーケターである | p.49 | 12分 | |
4章 サービスマーケティングにありがちな一八の間違い | p.69 | 18分 | |
5章 知っておくべき消費者の“思考パターン” | p.98 | 10分 | |
6章 ポジショニングとフォーカスで差をつける | p.114 | 16分 | |
7章 サービスならではの「適正価格」の定め方 | p.140 | 5分 | |
8章 失敗しないネーミングとブランディングのコツ | p.149 | 13分 | |
9章 大金を無駄にしない宣伝と販売の方法 | p.171 | 29分 | |
10章 新規顧客をつかみ、得意客を離さないために | p.218 | 9分 | |
11章 今日からできる具体策 | p.233 | 5分 | |
終章 要点整理と推薦図書について | p.241 | 5分 |
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