礼儀正しくあれ
ドラッカーは「よいマナーは組織の潤滑油だ」と言っていた。マナーをもって人と交流しようとせず、ただどなりちらして指示をし、命令し、支配すればいいと思っているリーダーは過去のものである。
有能なリーダーは、よいマナーが何より大切だとわかっている。よいマナーとは、パターン化された行儀の良さから生まれるものではない。仕事仲間一人ひとりを心から高く評価し、その仕事ぶりを尊重するところから生まれる。
人とコミュニケーションをとる時、相手の人間性を認めていれば、私たちはいろいろな形でその人の価値と尊厳を伝えようとする。信頼の文化、敬意の文化は、言葉だけでなく行動が伴って初めて育つ。そしてそこから、ミッションや価値観を重んじる風土、機会均等の風土が組織全体に行きわたる。
素晴らしい組織に共通する特徴の一つにリーダーシップの分散がある。これは、メンバー全員がミッションや目標に献身するところから始まる。メンバーが一致団結する前提は、職務の委任と説明責任、そしてリーダーがどんな見本を示せるかにかかっている。
ピラミッドを円に変える
今のように不穏であいまいな時代にリーダーは、階層を廃し、人々のエネルギーを解き放つ融合的な組織や体制をつくり、現状維持という金科玉条を打破することが求められる。
リーダーの務めは、組織に影響を及ぼしそうな重大な問題を見極めることであり、それらの問題を解決するためには、ミッション、イノベーション、ダイバーシティに基づいた効果的なパートナーシップを築いていくことである。
そのために、リーダーは次の3つのマネジメントを行わねばならない。
①ミッション達成を目指すマネジメント
戦略を効果的に進めるポイントは「組織のミッションが何であるかを理解しているかどうか」である。ドラッカーは、効果的なミッションステートメントは「Tシャツの胸に記して似合うものであるべきだ」と言っているが、さらに組織の存在理由を明確にする、魅力的で、士気を高めるものであるべきである。
②イノベーションを目指すマネジメント
組織を築く時、従業員をリードする時に、協力体制をつくりあげる時に、イノベーションを組み入れることができれば、イノベーションは「新しい次元の能力」を支える自然なものとなる。
③ダイバーシティを目指すマネジメント
これからのリーダーは、地域社会の多種多様な人々が年齢を重ねるにつれて、家庭や職場などにどのような影響が出てくるか予測しなくてはならない。そして、ダイバーシティを機会と捉え、「様々な人々を受け入れ、ともに働く」ということを、ガバナンスチームやマネジメントチームの最優先事項にする必要がある。