スティーブ・ジョブズ、リチャード・ブランソン、未来を見通すビジョナリーたちの思考法を脳科学の観点から、検証している本。
■ビジョンとは何か
ビジョナリーとは、普通の人が見落とすものを見つけられる人のことである。ビジョナリーに成功の秘訣を尋ねても、なぜ成功したのかよくわからないという人がほとんどだ。ヴァージングループのリチャード・ブランソンは「最高のアイデアが突然わく、ということが何度かあっただけ」と言う。しかし、物事の本質を見抜く能力「ビジョン」については、ある程度言葉で説明できる。
■他人が見落としているものを見る
人間の脳はパターンの認識に非常に長けている。脳は一秒に1100万個もの情報を受け取っているので、そうならざるを得ない。目、耳、鼻、皮膚、人体のあらゆる部分が、常に情報を吸収して脳に送っている。脳は、この際限なく送られてくる情報をパターン化するのだ。
人間は常にパターンを探し、パターンが判明すると安堵感を覚える。但し、いくら多くのパターンを覚えても、ビジョナリーのような洞察力は生まれない。大事なのはパターンの「質」だ。ビジョナリーは、見つかりにくいパターンを探している。
世界を変えるほどの偉業を成し遂げるのに、目の前に存在しないものを見る必要はない。他人が見落としているものを見落とさなければいいのだ。
■ビジョナリーの特徴
①発見力:見過ごされているものを見いだす
世界を変えるほどの偉業を成し遂げるのに、目の前に存在しないものを見る必要はない。他人が見落としているものを見落とさなければいい。
②想像力:頭のなかで視覚化する
想像したものと実際に見たものは、互いに干渉し合う。ビジョナリーは、その時に最も重要視している事に関して、常に想像力を働かせている。
③直観:「無意識」の声に耳を傾ける
私たちは無意識のもとで、多くの決断を下している。人は情報が少ない時の方がよりよい決断を下す。直観はそれを受け入れる準備の整った人のところにやってくる。ビジョナリーは実践で洞察力を鍛えているから、直観を正しく働かせることができる。
④勇気と信念:犠牲を厭わず、人生を賭ける
ビジョナリーが夢を追いかけるだけで終わらないのは、勇気と信念があるからだ。ビジョナリーに、勇気、自信、確固たる意志、非情さをもたらしているのは、脳に放出されるドーパミン、自分の内にくすぶっている葛藤、理想と現実の乖離だけでなく、既存のものよりもっと環境に適した存在に進化したいという動機が根底にある。
⑤共有力:自分のビジョンに他人を巻き込む
ビジョナリーは「EI(心の知能)」に優れている。EIは理性と本能のバランスをとる能力のことである。EIによって、ビジョナリーは人を魅了する。
⑥運:「偶然を自分のものにする」
ビジョナリーはみな運がいい。機会は成功における重要な要素の一つでだが、打席に立ち回数を増やすことで、機会が増え、チャンスをつかめる。ビジョナリーは途中で諦めないからこそ成功する。
著者 エリック・カロニウス
ジャーナリスト ウォール・ストリート・ジャーナル紙、ニューズウィーク誌、フォーチュン誌の記者・編集者として活躍 。 ダン・アリエリー『予想どおりに不合理』の執筆に協力したことから、脳科学の最新研究でビジネスにおけるビジョナリーを考察するアイデアを得て『なぜビジョナリーには未来が見えるのか? 』を執筆。
週刊 ダイヤモンド 2012年 9/29号 [雑誌] 丸善 丸の内本店「松丸本舗」売場長 宮野 源太郎 |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.7 | 4分 | |
第1章 「ビジョン」とは何か | p.13 | 15分 | |
第2章 発見力―見過ごされているものを見いだす | p.33 | 12分 | |
第3章 想像力―頭のなかで視覚化する | p.49 | 18分 | |
第4章 直観―「無意識」の声に耳を傾ける | p.73 | 22分 | |
第5章 勇気と信念―犠牲を厭わず、人生を賭ける | p.103 | 24分 | |
第6章 共有力―自分のビジョンに他人を巻き込む | p.136 | 20分 | |
第7章 運―偶然を自分のものにする | p.164 | 17分 | |
第8章 ビジョンを曇らせるもの | p.187 | 28分 | |
第9章 「ビジョナリー気取り」の誤算 | p.225 | 29分 | |
第10章 ビジョンを習得することは可能か? | p.265 | 18分 |
解明される意識 [Amazonへ] |
ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫) [Amazonへ] |
錯覚の科学 [Amazonへ] |
ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質 [Amazonへ] |
技術屋(エンジニア)の心眼 [Amazonへ] |
デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳 (ちくま学芸文庫) [Amazonへ] |
EQ こころの知能指数 (講談社プラスアルファ文庫) [Amazonへ] |
ヴァージン―僕は世界を変えていく [Amazonへ] |
第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい (翻訳) [Amazonへ] |
たまたま―日常に潜む「偶然」を科学する [Amazonへ] |
創造の狂気 ウォルト・ディズニー [Amazonへ] |
インテル戦略転換 [Amazonへ] |
妻を帽子とまちがえた男 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) [Amazonへ] |
急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則(ソフトバンク文庫) [Amazonへ] |
スティーブ・ジョブズ-偶像復活 [Amazonへ] |