「特に目的を持たず、自由に頭の中の地図・地理の中を歩いてみる」を趣旨として、地図・地理をどういう思考で見るかを紹介している本。
地図を見ると行っても、逆さにしたり、方角に注目したり、宗教やルーツを考えてみたり、類似や差異に着目したりと、様々な方法がある。
19個の思考法で、新たな発想のヒントが得られるかもしれません。
■経路
「経路」には「早い」「快適」「幸せ」「野性的」など、様々な選択肢や価値基準がある。僕たちは、それらを発見し、あるいは選択している。この思考法の最大の収穫は「早い」ばかりに目を向けるべきでないということ。
■目印
道しるべを見つけ、そうすることによって、未知を既知に転換する発想を「目印」と名付ける。頭の中を歩くにも自分の頭の中に「目印」があれば便利だし、「目印」を手掛かりに目的地に辿り着ける。つまり、思い出せる。
「目印」が発生しやすい環境をつくるには、「汗をかく」「恥をかく」「字をかく」こと。いずれも記憶が鮮明で良好になる。
■交差点
交差点はどれ一つとして同じものが存在しない。交差点とは、道と道とが一瞬交わる・出会う貴重な場所であり、だからこそ「目印」にもなり、道案内でも便利であるということ。
いつも同じような予感や理解をもとに仕事をしていると、似たり寄ったりの「交差点」しか生まれてこない。対策として、自分の予感や理解、考え方の「クセ」を自覚すべきである。自分の感受性や理解の仕方がどんな「方角」に偏りがちかを意識していく。意識して普段と違う「立場」に立つ、すると、どこかで従来の僕の予感とぶつかる時がくる。
■探索
「探索」と「検索」は違う。「検索」という行為は、最初にキーワードを打ち込むので、そのキーワード以外に発想が広がりにくい欠点がある。知りたいことにだけ行き着く。他方、「探索」は落ち着いて、まずは手掛かりをどう探すかに集中する。
「探索」の醍醐味の1つは、ジャンルを変えること。例えば日本史の文献を探す際に、歴史ではなく美術史から「探索」してみたりする。
■類似
積極的に「似たもの」に目を向け、その由来を調べるのは面白い。「似たもの」を見つけること、「似たもの」の中身を探ること、そこから派生して「似たもの」に潜む大きな違いや細かな差異を見つけること。それだけでも、かなり長時間、頭の中を歩き回ることができる。
■限定
「限定」は、人によって大いに異なり、何に「限定」するかで各人の個性が現れてくる。「限定」という思考法は、何かを発見するためというより、目的もなく何かと向き合うことをただ楽しむ際のものである。「限定」は、「ストーリー」づくりにも有効であり、脱線防止にもなる。
著者 下東 史明
1981年生まれ。博報堂 第一クリエイティブ局 コピーライター 明治大学・非常勤講師 大学卒業後、博報堂入社。主な仕事に、アサヒMINTIA「俺は持ってる。」、マンツーマン英会話GABA「ハイ、そこでGABA」、アサヒ一本満足バー「マンマン満足」、イエローハット・テレビCM、サントリー胡麻麦茶「高橋克美さん」キャンペーン、逆流性食道炎啓発「食道捜査官・筧利夫」。 主な受賞暦に、TCC新人賞、TCC審査委員長賞、TCCファイナリスト、カンヌ広告祭・U28日本代表選出、日経広告賞、JR東日本ポスターグランプリ金賞など。
週刊 ダイヤモンド 2012年 8/18号 [雑誌] 紀伊國屋書店新宿本店第2課係長 水上 紗央里 |
週刊 ダイヤモンド 2012年 9/29号 [雑誌] 丸善丸の内本店「松丸本舗」売場長 宮野 源太郎 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
まえがき | p.4 | 1分 | |
1 凝視 その先の一点を見据える。 | p.6 | 9分 | |
2 立場 普段立たない、新しい視界へ。 | p.20 | 9分 | |
3 方角 どこにいるか、どこに行くべきかを把握する。 | p.34 | 10分 | |
4 争点 なぜ争う、を知る。 | p.50 | 11分 | |
5 宗教 深く知るとは、バックボーンを知ること。 | p.68 | 7分 | |
6 ルーツ 元々どこから? そしてどこへ? | p.80 | 12分 | |
7 ストーリー 物語ることで記憶は強まる。 | p.100 | 7分 | |
8 2位 全体まで一気に俯瞰する。 | p.112 | 6分 | |
9 スケール 見かけ通りと見かけ以上。 | p.122 | 12分 | |
10 距離 実感できれば勝ち。 | p.142 | 9分 | |
11 経路 道も人生も、どう進むか。 | p.156 | 9分 | |
12 目印 街の中にも頭の中にも、道しるべがある。 | p.170 | 10分 | |
13 交差点 交わって生まれるもの。 | p.186 | 7分 | |
14 探索 手がかりと答えは違う。 | p.198 | 6分 | |
15 整列 美しく把握する、美しく知る。 | p.208 | 6分 | |
16 類似 浮き彫りにする。 | p.218 | 10分 | |
17 差異 似たものだけれど、似てないものから学ぶ。 | p.234 | 6分 | |
18 志向 井の中から出るために。 | p.244 | 6分 | |
19 限定 1つに絞って楽しむ。 | p.254 | 6分 | |
あとがき | p.264 | 2分 |
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