なぜ今、スタートアップなのか
この1、2年で目立ってきた就職と起業を巡る新しい傾向には、3つのことが挙げられる。
①やりたいことがあるから「起業」した。
起業家にとっては「やりたいこと」が1番大事なこと。どうしてもやりたいことがある。それをするには起業するしかない。この本来、当たり前のことをシンプルにやってみようと考える学生がたくさん現れてきた。
ex.ソーシャルトラベルサービス『trippiece』
大学3年の夏、「バングラディシュにソーシャルビジネスを見に行く」という旅行企画を、SNSを通じて提案したところ、2週間で18人もが集まった。参加者の興味軸が同じで盛り上がり共感することも多かった。この旅の経験があったので、起業すればここにチャンスがあると思った。
②新卒就職は2番目の選択肢だった。
学生時代にやりたいことを発見した若者にとって、新卒採用は明らかに機会損失にしかすぎない。新卒採用で大企業に就職して、組織の歯車となるサラリーマン人生を送ることこそが、起業よりもよほど機会損失が大きい。
③起業しやすい環境が整ってきた。
クラウド、オープンソース、SNSというIT技術の進展とともに、コワーキングスペースなどの起業家向けのインフラが充実し、10年前と比べて起業への敷居が圧倒的に低くなった。だから、バンド感覚の起業ができるようになった。
チーム3名が、起業からプロダクト・サービスのリリースまで6ヶ月間に必要な資金を計算すると、「20万円/1人月×3人×6ヶ月=360万円」。多少の経費を加えても、500万円で十分に経費が賄える。
若者たちは、景気停滞が続いていることで、将来にあまり期待を持てないということを肌で感じている。だから自分たちで何かやった方が面白いんじゃないかと直感的に考え始めている。
スタートアップする理由
仕事とは安定した収入を得るためと考えるのも一理ある。それでも、働くとはどういうことかについて、人は深く考え、こだわりを持って生きるべきである。
スタートアップする理由を一言で言うなら、「人生において最も大事な何かを得る事ができるから」と答えることができる。
その大事な何かとは、自分が苦しい時に本当に力になってくれる人が誰かわかったり、絶対絶命の時に救いの手をさしのべてくれたりする人に運命的に出会えるという「奇跡」である。
つまり、スタートアップを通じて「心から人に感謝する機会」を得ることができる。そのような喜びを得られることに比べれば、失敗なんてどうってことない。
社会のために仕事をする。
誰もが見過ごしている暗い場所を照らし出す。
そういう働きを見ている人がきっといる。僕らがスタートアップした理由は、そういうことである。