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2012/10/28更新

財政破綻は回避できるか

123分

5P

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財政赤字の安定化には、どの程度の収支改善が必要か?

現在5%の消費税を14年4月に8%、15年10月に10%まで引き上げる消費増税案を前提とした場合、プライマリーバランスの赤字は改善する。しかし、今後は政府債務残高の増加が直接、利払負担の増加に結びつくため、政府債務GDP比率は上昇し続け、純債務は22年に200%を超える。これでは日本の財政状態は持続可能とはいえない。

例えば、消費税率を2014年から2023年までの10年間に2%づつ引き上げ、25%にする場合、政府純債務GDP比率は2020年にピークの180%に達した後、徐々に低下を始める。但し、消費税を25%まで引き上げても、少し金利が上昇すれば、政府債務は増え続けてしまう。

日本の財政を安定化させるには、GDP比10%もの巨額の財政収支改善が必要となる。一度、政府債務GDP比率が高くなると、金利による利払負担増加は巨額になる。国債利回りが上昇すると、国債が満期を迎えて借り換えるたびに金利負担が増加していく。日本の純債務GDP比率はすでに130%に達しており、日本の財政状況は極めて危険な状態である。

財政再建と経済成長を両立できるか

日本の財政赤字と政府債務はいずれも非常に大きく、財政収支を黒字化して負債を削減する必要があるのは明確である。しかし、日本経済は長期デフレ下にあり、増税や歳出削減が景気を悪化させるリスクも高い。

財政赤字を削減するには「金融緩和」と「財政の引き締め」が最適である。しかし、金融緩和は、既に金利が超低水準で推移しており、引き下げの余地がない。このため、経済成長を維持しながら財政再建を行うには、増税の手法や景気刺激策に対する工夫が求められる。

①消費税を8年かけて毎年2%引き上げ21%に
②社会保険料の負担を減らし、低所得層の負担を軽減
③炭素税を導入し、その税収で省エネ投資を促進
④日本語能力を持つ移民を受け入れ、潜在成長率を引き上げる

増税による財政再建の意思がなければ破綻を回避できない

政府に対する信用が失われ、国債金利が暴騰しても、日本銀行が政府に貸し出しを行ったり、政府から国債を直接買い入れたりすれば、政府はデフォルトを回避して支出を続けることができる。これは、ギリシャなどのPIIGS諸国との大きな違いである。

また、日本にはGDPの6割に相当する対外資産があり、その内、海外準備がGDPの2割という債権国である。従って、現状であれば、仮に資本逃避が発生しても、円安によって政府と民間は利益が得られることになる。

しかし、所得分配の上では、国債や生命保険、個人年金などの金融資産を保有する人々が、その実質価値の喪失で巨額の損失を被ることになる。