今読むべき優良ビジネス書が
すぐ見つかり、読んだ本を
しっかり自分の知識にするサイト

本を検索する

カテゴリーから探す

人気のタグ

お知らせ


Android無料アプリ配信中
2012/10/23更新

ホンダ イノベーションの神髄――独創的な製品はこうつくる

228分

7P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

対象読者:

アマゾン詳細ページへ

ホンダのイノベーションを実現させる仕組み

ホンダで、エアバッグの開発に従事し、16年間かけて製品化を成功させた著者が、ホンダのイノベーションを加速させる仕組みを紹介している。

今、多くの企業が悩んでいるイノベーションを生み出す方法について、その解決策を提示している。


■ホンダ流イノベーションの仕組み
ホンダには、本田宗一郎の「理念・哲学なき行動(技術)は凶器であり、行動(技術)なき理念は無価値である」という言葉が根付き、イノベーションの成功率を高めている。その哲学とは次の2つに集約される。

①三つの喜び
「作って喜び、売って喜び、買って喜ぶ」こと。技術者、販売店、購買者の喜びを同時に実現することを目指したもの。中でも「買って喜ぶ」を最も重要と考えており、技術者がイノベーションを実現すべきは顧客に喜んでもらうための価値という考えが自然と出てくる。

②人間尊重
人間尊重とは自律、平等、信頼のこと。人間尊重は個性の重視とも重なり、イノベーションとも密接に関係している。

哲学だけでイノベーションを実現できる訳ではないので、ホンダでは、理念・哲学を実際の行動に結び付ける「企業文化」と「仕掛け」を培ってきた。これがイノベーションを強力に後押ししている。

超短要約

■なぜイノベーションは周囲に反対されるのか
イノベーションの初期段階、つまり世界のどこにもない技術に関して、開発費用や利益額、それらの根拠など答えられる人はいない。それなのに、自分は部外者的な安全圏にいながら、したり顔で問い詰めるといった上司や役員など、イノベーションの足を引っ張る人が多い。

このようなイノベーションの死を理解するには、企業活動を執行(オペレーション)と創造(イノベーション)に分けて考えるとよい。オペレーションは、論理的に正解を追求できる業務であり、企業活動の95%を占める。その本質的な特徴は、すべきことが明確で、それを効率化することが主眼となる。

一方、イノベーションは、最終的に成功か失敗のどちらかなので、改善や改良とは別物である。成功率は10%にも満たず、実施期間も10年以上に及ぶことが多い。長期間にわたって成功率の低い多数のプロジェクトをマネジメントすることは、論理と分析に基づいたきめ細かな手法では無理である。このため「熱意や想い」といった人間性に基づく原理でプロジェクトが運営される。

上司や周囲の人たちが、イノベーションを阻害する理由は、オペレーションの価値観で、イノベーションを評価するからである。100%の成功が求められるオペレーションの視点からは、イノベーションのプロジェクトは欠陥だらけに見える。企業が成長してオペレーションが主流になると、オペレーションが得意な経営陣が、その成功体験に基づいて深い考えもなしに、イノベーションの息の根を止める。そして新たな価値が生まれないので先細りとなる。

■イノベーションを成功させる鍵
そんな技術開発を成功させるには想いしかない。オペレーションは事前の調査をしっかりして状況を分析し、論理的な思考によって問題を潰していくが、未知の領域に挑戦するイノベーションは違う。情報自体がないので分析や論理的思考が役に立たないからだ。しかも、普通は10回挑戦して9回は失敗する。

イノベーションの尺度である、担当者の想いを評価するというのは漠然としている。想いが空回りしたり、間違った方向に向いたりすることがあり得る。こうした空回りや間違いをしないために、ホンダでは上司への報告や議論を通じて「正しい方向を探すアプローチを熟慮させる」ようにしている。上司が様々な質問を投げかけることによって、担当者の想いと熟慮を推し量るのである。

そして、もう一つ重要なことは哲学である。哲学とそれに基づく純粋な想いには、人を動かす、大きな力がある。哲学と想い、この2つがイノベーションの成功を手繰り寄せる最大の鍵である。

著者 小林 三郎

1945年生まれ。元・ホンダ 経営企画部長 1971年に本田技術研究所に入社。16年間に及ぶ研究の成果として1987年、日本初のエアバッグの開発、量産、市販に成功。2000年ホンダの経営企画部長に就任。 2005年退職後、2006年3月に一橋大学大学院国際企業戦略研究科客員教授、2010年に中央大学大学院戦略経営研究科の客員教授に就任。

この本を推薦しているメディア・人物

週刊 ダイヤモンド 2012年 9/1号 [雑誌] 週刊 ダイヤモンド 2012年 9/1号 [雑誌]
丸善丸の内本店「松丸本舗」売場長 宮野 源太郎
日経ビジネス Associe (アソシエ) 2012年 10月号 [雑誌] 日経ビジネス Associe (アソシエ) 2012年 10月号 [雑誌]
日本経済新聞 日本経済新聞
りそな総合研究所主席研究員 荒木 秀之
帯
一橋大学名誉教授 野中 郁次郎

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
はじめに p.1 5分
1章 絶対価値 p.15 7分
2章 イノベーション包囲網 p.27 6分
3章 本質的な目標 p.37 7分
4章 哲学と独創性の加速装置 p.49 8分
5章 ワイガヤ(1) 高貴な本性 p.63 6分
6章 ワイガヤ(2) 心の座標軸 p.73 7分
7章 三現主義 p.85 8分
8章 現実的とは p.99 7分
9章 異質性と多様性 p.111 6分
10章 学歴無用 p.121 8分
11章 ルールと、ホンダのしきたり p.135 6分
12章 コンセプトと本質(1) 五代目シビック p.145 5分
13章 コンセプトと本質(2) アポロ計画 p.153 8分
14章 コンセプトと本質(3) 言葉の力 p.167 6分
15章 トップと上司の眼力 p.177 7分
16章 自律、平等、信頼 p.189 6分
17章 若者のポテンシャル p.199 6分
18章 説得 p.209 7分
19章 やる気を引き出す p.221 7分
20章 価値の見える化 p.233 7分
21章 開発から量産への壁(1) 連携 p.245 8分
22章 開発から量産への壁(2) サプライヤー p.259 7分
23章 哲学と想い p.271 7分
24章 イノベーションに挑む p.283 13分
おわりに p.305 2分

ユーザーのしおりメモ (0)