『ゲーム&ウォッチ』『ゲームボーイ』を生み出し、任天堂を躍進させる原動力となった開発者、横井軍平氏のものづくり哲学を紹介している。
横井軍平氏の哲学は「枯れた技術の水平思考」と言われ、現在の任天堂の考え方の根幹ともなっている。その考え方とは、次の2点。
①散々使いこなされ、コストが安くなった技術を用いて、コストバランスをとりつつ、シンプルなものづくりに徹すること。
②現在利用されているジャンルから離れ、全く別のものに置き換えて使うことにより、新しいものを生み出すこと。
日本のものづくりの危機を打開するためには、横井軍平氏の哲学を見直す時であるとし、その多くの言葉が掲載されている。商品開発や新しいサービスを考える上で、参考になる一冊。
■横井軍平のものづくり哲学
日本のものづくりの危機を打開する良い方法はないか?
そのヒントは任天堂で『ゲーム&ウォッチ』『ゲームボーイ』『バーチャルボーイ』の開発者である横井軍平にある。彼のおもちゃは前衛的であり、ものづくりの哲学に満ちていた。横井の哲学は次の2つの考え方に基づいており、これは現在も任天堂の根幹になっている。
①ヨコイズム
コストバランスをとりつつ、シンプルなものづくりに徹すること。横井はコミュニケーションの重要性を意識した他、色数やスペックにこだわらず、アイデアを徹底的に絞り、シンプルに自分が面白いと思ったものをつくることにこだわった。
線を繋いで対戦できる『ゲームボーイ』の通信ポートは、現在の携帯ゲーム機市場において、一般的な仕様となっている通信対戦の先がけである。ゲームをしながらのコミュニケーション。それがゲームを白熱させ、大ヒットを生み出し、ブームをつくる起爆剤となる。
②枯れた技術の水平思考
「枯れた技術」とは、すでに広く使用されてメリット・デメリットが明らかになっている技術のことで、コストが高くなく、いわば「枯れている」ものを利用すること。「水平思考」とは、現在利用されているジャンルから離れ、全く別のものに置き換えて使うことにより、新しいものを生み出すという考えである。
横井軍平の生み出した哲学を用い、アイデアを絞ること。それがものづくりの突破口である。
著者 横井軍平
1941年生まれ。元・任天堂 製造本部開発第一部部長 1965年任天堂に入社、翌年〈ウルトラハンド〉を開発し大ヒット商品となる。以後〈ウルトラマシン〉〈光線銃SP〉〈ゲーム&ウオッチ〉〈ゲームボーイ〉〈バーチャルボーイ〉など、玩具・ゲームの世界で ユニークな商品の数多く開発する。宮本茂氏と並んで任天堂を世界的大企業へと押し上げる原動力となった。 1996 年同社を退社、株式会社コトを設立。バンダイの携帯型ゲーム機〈ワンダースワン〉 の開発にアドバイザーとして参加する。 1997 年、石川県小松市で北陸自動車道での追突事故に巻き込まれて死去。享年56。
帯 アスキー・メディアワークス代表取締役 塚田 正晃 |
帯2 チームラボ代表取締役 猪子 寿之 |
マインドマップ的読書感想文 smooth |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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軍平語録 | p.8 | 2分 | |
序文 いま横井軍平が必要だ | p.14 | 5分 | |
人間の本能がゲームの原点 | p.26 | 1分 | |
第1章 横井軍平の「ものづくり」 | p.29 | 31分 | |
第2章 〈バーチャルボーイ〉とは何だったのか | p.111 | 10分 | |
第3章 偉大なる「すきま産業」 | p.137 | 23分 |