ソーシャルエコノミーの時代
人々の欲望と共に、エコノミーのカタチは下記のように変遷してきた。
①農業経済:原料そのものの消費
②産業経済:パッケージ化された商品を提供物とする経済
③サービス経済:商品の代わりにサービスを提供物とする経済
④経験経済:スターバックスを象徴とする「上質な体験価値」を提供物とする経済
しかし、「上質な体験価値」も、ときに過剰になっていき、サービスを受ける側を飽きさせることになった。
第五の経済のカタチは「共創費経済」(ソーシャルエコノミー)となっていくだろう。「お互いがサービスしあうこと」を提供物とする経済である。
完成度や画質は二の次でいいから、安価に始められ、自分たちで共につくり、共に育て、共に騒ぎ、共に消費するタイプの楽しみ方の方が、手応えとして魅力的になった。Wiiや動画共有サイトの人気が示すように、コンテンツ自体のクオリティの高さやサービス品質だけで、人が集まる時代ではなくなってきている。
コミュニティを和にする技術
ソーシャルエコノミーは、何事も良質なコミュニティづくりから始まる。コミュニティを作るためのプロセスは次の通りである。
①まず「共益のネタ」を放つ
集めたい人が喜ぶネタを準備し、広めたくなるよう仕掛けていく。インパクトも大事だが、「どんな人たちを集めるためのネタか」という共益(集まる理由)設定を考えること。
②「同好コミュニティ」活性化のため、「宴」を催し続ける
「共益のネタ」に多くの人が集まり、長い行列ができても、直ちにコミュニティが生まれる訳ではない。集まった仲間がどのような「空気感」を醸し出すか。その空気感
づくりがコミュニティ形成の第二歩、共感である。徐々に見ず知らずの相手とも打ち解け、対話を楽しめる間柄になっていく。この様子は「宴」である。人々は宴を通して仲間意識を強めていく。
多くの勝手コミュニティは、ここでほとんど終わり、やがて消えていく。なぜなら祭りの運営は面倒だからである。生活者だけでは乗り越えていけない。
③「和」が生まれたら、「祭りのハタ」を掲げ、「同好リーグ」化を導く
単なる「仲良しコミュニティ」を超えるには、メンバーが一体となり、共通の目標に向かって大きなエネルギーを生み出していくことが必要である。機が満ちたら「◯◯大会の優勝・記録達成・成功」といった「祭りのハタ」を掲げる。ハタである大会などは、運営が大変であり企業の関与が必要となる。
④祭りの後に「裾野ソサエティ」を広め、ソーシャルエコノミーの発動を促す
祭りの開催からは、内輪だけのコミュニティ観からの脱却、外部の仲間コミュニティとの邂逅などを通じて、帰属意識を高めるといった効果を得られる。