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ネットコミュニティを創り、育て、盛り上げるためのノウハウ

AKB48、B-1グランプリ、初音ミク、ニコニコ超会議など、日本的なソーシャルの形が新しい経済を作っている事例を紹介。日本人の文化的背景を考査しながら、コミュニティ作りの方法を解説している。


■和のソーシャル
私たちは「和」を乱すことを嫌がる。「◯◯であることの調和」を犠牲にしてまで「個」を発信することに慣れていない。だから、私たちのソーシャルは、既存の「和」をベースにしながら、どこかで「別の和」を願うものになる。つまり、自分の帰属する日常コミュニティとは別に、どこか他にも自分にとって支えになるコミュニティを築き上げたいと願う。日常コミュニティの閉鎖性やしがらみにうんざりしながらも、それでもムラ的な絆を求め、コミュニティ内に和が醸成されるほど高まりあえる構造を好む。

日本人ならではのソーシャル活用事例で、わかりやすいものが初音ミクだ。初音ミクというボーカロイドを盛り立てるために、誰もが「和」の一部となって活躍するが、中心には誰もいない。センターがあるような、ないような連帯。気に入ったものを気に入った同士で「推し合って大きくする」楽しさ。AKB48も同様である。

この仕掛ける側も仕掛けられた側も「和となって参加する」という構造、「和を仲間たちと楽しんだ後、様々な消費を起こし始める」という構造は、従来の消費スタイルとは大きく異なる。

超短要約

■和の共創費

これからの欲望のカタチを捉えるキーワードとして「和の共創費」を掲げたい。「和の共創費」とは、仲間たちが協力し合う和の状態の中で、仲間と共に価値あるものを創造し、同時に創出されたものを仲間と「見る」「編集する」「参加する」「購買する」などして、消費まで行うことを意味する。

私たちは今、ソーシャルな時代にいる。なんでも自在に同好できるネットコミュニティを作ることができるようになった。「和の共創費」とは、そこで起きる新しい消費のカタチである。初音ミクやAKB48は、その先駆的な事例である。


■継続するコミュニティには祭りが必要

ソーシャルエコノミーは、何事も良質なコミュニティづくりから始まる。ソーシャルメディアのおかげで、新たな仲間に出会える可能性は飛躍的に高まった。同好コミュニティも手軽に作れるようになった。しかし、同好コミュニティの中には、乗り捨てられ消えていくものや放置されたものが数え切れない。ちょっと目新しいコンテンツに人が集まったと思ったら、すぐに次へと興味が移る。

無数の同好コミュニティが霧散する中で、時々異常に盛り上がることがある。例えば、学校の同窓コミュニティ。できたての頃は、懐かしいメンバー間の近況報告で盛り上がるが、しばらくするとほとんどコメントが入らなくなる。そんな同窓コミュニティが突如盛り上げる時が「同窓会でもやっちゃう!?」と言い出した時だ。しかし、同窓会が終われば事態は収束していく。

消えないコミュニティためには、祭りが重要となる。但し、「いきなりの祭り」は無理である。「和」のない所に祭りは生まれない。日本人が伝統的に大切にしてきた生活サイクルに「ハレとケ」という言葉がある。「ケ」が日常を表す言葉で、「ハレ」は儀礼や祭りといった非日常を意味する。同好コミュニティでも、重要になるのは「ケづくり」であり、ハレの場である祭りが成立するためには、ケの場における宴で「和」が築かれていることが必要となる。

著者 阿久津 聡

1966年生まれ。一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授 カリフォルニア大学バークレー校ハース経営大学院経営研究所(IMIO)研究員、一橋大学商学部専任講師、一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授などを経て、現職。専門はマーケティング、ブランド論、消費者心理学、行動経済学。

著者 谷内 宏行

電通ストラテジック・プランナー 1993年、電通入社。1997年より携帯電話領域でのプロジェクト・リーダーを務める。携帯と親和性の高い若者研究にも取り組み、若者をターゲットとするキャンペーンやソーシャルメディア活用に従事中。現在「電通リア研」を主催。

著者 金田 育子

株式会社電通ストラテジック・プランナー 1993年、電通入社。セールスプロモーション、メディア、インタラクティブ、戦略PRのプランニング現場を経て、現在は、統合コミュニケーション・プランニングに従事。

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帯
作家 村上 龍
tokuriki.com tokuriki.com
徳力 基彦

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
序章 和のソーシャル p.3 10分
第1章 新経済へのヒフ感覚 p.17 19分
第2章 ソーシャルエコノミーの時代 p.43 26分
≪コラム≫ソーシャルエコノミーの予言者たち p.79 4分
第3章 コミュニティ形成の大革命 p.85 24分
第4章 コミュニティを和にする技術 p.119 34分
第5章 「祭りのハタ」への高まり方 p.167 29分
第6章 ソーシャルエコノミー・クエスト p.207 29分
終章 「和」のなる方へ p.247 6分

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