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2012/10/06更新

働きながら、社会を変える。――ビジネスパーソン「子どもの貧困」に挑む

  • 慎 泰俊
  • 発刊:2011年11月
  • 総ページ数:264P

212分

2P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

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LIPの始まり

社会人2年目、「ちょっと時間に余裕ができてきたかなあ」と感じていた頃、ジェフリー・サックス教授が書いた『貧困の終焉」という本に出会う。この本には年間に800万人が亡くなっている貧困の現実と、それを終わらせるための方法が書かれていた。サックス教授によると、極度の貧困を持続可能な形で終わらせるために必要な年間支出は、先進国にいる人々の所得のたった2.4%だという。

仕事をしながら平日の夜と週末を使って活動する人が増えたら、2.4%の目標って達成されるのではないか。そういう仕組みをつくれたらいい。重要なことはそのアイデアを思いつきで終わらせるか、最後までやり抜くか。そして最初の一歩を踏み出した。

最初は勉強会から始めるのが一番ということで、ブログで参加者を募った。第一回は10人くらい人が集まったが、その後半年くらいは少人数で細々と続けた。LIPの目指すのは「機会の平等を通じた貧困削減」と「パートタイム活動の新しいモデルをつくること」の2つ。様々な議論を経て、マイクロファイナンスに注目した。

2008年に世界銀行と共催で、マイクロファイナンスのフォーラムを開催し、翌年に日本初となるマイクロファイナンスのファンドを作った。

何をすべきか

ファンド組成が一段落したところで、改めて国内の貧困にも目を向けて活動したいと思った。なぜなら、世の中を良くしたいと思ったきっかけが、大学に行けなかった友達という国内の貧困にあったからである。

LIPのメンバーから、児童養護施設の見学に行かないかという提案があった。施設を見学し、「これは何かするべきなんじゃないか」と直感的に思った。人生では生きられる時間も経験できることも限られている。その場で「これだ」と思ったことに賭ける以外に、やるべきことを見つける方法があるだろうか?

ここから先1〜2ヶ月に一回、児童養護施設に通い、何ができるかを考えた。しかし、提案を何度持っていっても拒否されることが半年続く。その後、有給休暇を利用し、施設に住み込む。現場から見えてきたことは、餅は餅屋だということ。自分たちにできる最高の貢献は、自らが得意なことであり、施設の職員にとっては難しいことだと考えた。

LIPの活動

LIPは施設の資金調達支援とキャリア教育支援に取り組むことに決めた。その理由は、目の前の施設の問題をある程度解決できること、寄付を通じて児童養護施設問題に関して社会の認知を高められる可能性があること、自分たちの強みを活かせることにある。

こうして、毎月カード決済を通じて1000円から参加できる寄付プログラムを開始。さらに、子供達が進路における選択肢を増やすことができるようなキャリアセッションを毎月一度行っている。