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2012/09/29更新

脳には妙なクセがある

251分

3P

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ヒトは自分自身に無自覚であるという事実に無自覚である

私たちは意識上では極めて自由に行動しているつもりであっても、現実には、本人でさえ自覚できないような行動のクセがあって、知らず知らずに、活動パターンが常同化している。

意志は脳から生まれるのではなく、周囲の環境と身体の状況で決まる。例えば、指でモノを指して欲しいと依頼すると、右利きの人なら右指で指す。そもそも左右どちらの手を選択するかは自由である。この選択は意志というより、癖といった方が的確である。そこで「左右どちらかで指して下さい」と依頼する。すると右指の使用率は60%に下がる。この変化も依頼されたことが理由であって、外部音声への単なる「反射」だと解釈できる。

この実験では、本人はあくまでも「自分の意志で左を選んだ」と確信している。ハーバード大学のパスカル・レオン博士らは、この実験の最中に、右脳を磁気刺激した。すると右を選ぶ率が、先の60%から20%まで落ち、さらに左手を多く使うようになることがわかった。面白いのは、当人は刺激された事に気づかずに、あくまで「自分の意志によって左手を選んだ」と頑なに信じている。

つまり、自由意志とは本人の錯覚にすぎず、実際の行動の大部分は環境や刺激によって、あるいは普段の習慣によって決まっている。

身体運動が思考を形づくる

脳という自動判定装置が正しい反射をしてくれるか否かは、本人が過去にどれほどよい経験をしてきているかに依存している。適切な行動は、その場の環境と、過去の経験とが融合されて形成される「反射」である。だからこそ、人の成長は「反射力を鍛える」という一点に集約される。反射を的確なものにするためには、よい経験をすることしかない。

ヒトの高度な思考は、身体の運動から派生している。進化を遡れば、もともと原始的な動物は、物質環境の中で身体運動を行っていた。動物は、この運動を統制するための装置として、神経系を発達させ「脳」を作った。

脳の構造は階層的になっており、進化的に古く、身体と深い関係をもっている旧脳の上に「大脳新皮質」が存在する。進化的に後から生まれた大脳新皮質は、旧脳を円滑に動かすための予備回路であったが、ヒトは進化の過程で大脳新皮質を拡大させた。大脳新皮質は、身体性が希薄である。よって、ヒトの脳は、身体を省略したがる癖が生じる。その結果、脳内だけで情報ループを済ませる、つまり「考える」という高度な能力を得た。人の脳は身体性を軽視しがちだが、元来は身体とともに機能するように生まれたものである。

身体や環境が精神を規定すると考えれば、感覚ではなく、運動(出力)が重要である。心は身体から派生することを、あえて念頭に入れておくことが大切である。