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2012/10/17更新

謎の会社、世界を変える。―エニグモの挑戦

210分

5P

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逆境

最初の構想から2年3ヶ月かけて、ついにバイマが立ち上がった。しかし、誰も存在自体知らないので、アクセスがない。長い間、取引はほんの少ししか増えていかなかった。

プレスリリースを見て、いくつものメディアが好意的に取り上げてくれた。一方で、インターネット広告を数ヶ月続けたが、ほとんど効果がなかった。出した媒体が悪かったのか、そもそもバイマのサービス自体にニーズがなかったのか、答えは出なかった。雑誌などとタイアップ広告を出すも、会員が一気に増え、物が売れていくというほど世の中は甘くなかった。

何をやっても、会員がなかなか増えない日が続き、いろいろやってみるけれど突破口が見えない苦しい時期が続いた。不安が社内に満ち、雰囲気を重くしていた。出資したいという会社はたくさんあったので、資金面での不安はなかったが、自分たちがやっていることが最終的に日の目を見るのかどうか、その不安がすごく大きかった。

失意からの挑戦

バイマのオープンから半年が経ち、会員数の伸び悩みから撤退するかしないか、真剣な話し合いが持たれた。最終的には「規模が大きくなれば市場は確実にある」という結論で継続が決まった。但し、バイマが儲かるまでには、かなり時間がかかる。そこで、バイマ以外の収益源を新しく生み出すことを考えた。

がむしゃらに営業すれば頑張った分だけ売上が上がるビジネスを求めていた。この頃からブログが盛り上がっており、メルマガ、ネットリサーチ、ブログ、クチコミといったキーワードから、一つのアイディアが降りてきた。

首都圏で働いている若い女性のブロガーを束ねて、そこに企業からの情報を流してブログに書いてもらう。最終的には、ブログを持っていれば誰でも参加できることにし、『プレスブログ』と名付けた。

プレスブログの会員を集めるのは、バイマに比べて非常に簡単だった。いくつかのネット広告を組み合わせて募ったところ、一週間で数千人のブロガーが登録してきた。プレスブログ自体がネットの口コミにのりやすいサービスだったことが理由にある。ブログさえあれば、書くだけでお金になるので、参加のハードルが低く、あっという間に広がっていった。

プレスブログには開始直後から、次々と案件が持ち込まれてきた。時代がブログを使ったキャンペーンを待ち望んでいた時に、どんぴしゃのタイミングでスタートしたと言える。

同じ頃、バイマもリニューアルとプロモーションの効果で、会員数10万人の達成も見えていた。エニグモの急拡大が始まりつつあった。