相手に関心を向ける
取引に関する交渉であっても、人は一人の人間として扱われると、そうでない場合に比べて、相手を助ける確率が6倍も高くなる。たとえ知らない相手でも、心を通わせれば、目標を達成するのに手を貸してくれることが多い。
やってはいけないことは、相手の怒りっぽい態度や不愉快な態度を責めること。責めたところで、自分の目標からは遠ざかるだけ。目の前にいる人に関心を向け、相手と一緒に今できることに集中する。
信頼をつくる
相手に対して率直であること。交渉で嘘をついたりするのは、リスクが高い。もちろん、相手に何もかも打ち明けろということではない。「今の時点では」まだ明かす気になれないと言っておき、その後に関係が発展すれば、より多くの情報を与えればいい。信頼できない相手との交渉では、約束を破らないことに報酬を与える仕組みを作ることが役に立つ。
相手の頭の中をのぞく
交渉が失敗する原因で最も多いのは、コミュニケーションの失敗である。その中でも誤解が最大の原因である。使われている言葉に注意を払い、お互いの認識が正しいかを確かめること。
相手の認識を知る有効な方法は、質問をすることである。交渉では疑問文が平叙文よりはるかに強力。例えば「それはフェアじゃない」と言う代わりに「それがフェアだと思いますか?」と言う。質問をすれば、相手を会話に引き入れる可能性も高まり、情報が得られるかもしれない。
相手の規範を盾にする
規範とは、相手が公平だと考える基準のこと。矛盾した言動をとりたくないという欲求は、人間心理の基本原理である。だから、自分の規範(過去の言動や約束)に従うか、矛盾を認めるかの選択を迫られると、大抵の人は自分の規範に従う方を選ぶ。
段階的に進める
大きなステップを要求すると、リスクが大きく思われ、相手はノーと言いやすくなる。交渉では相手をなじみのある場所へと、一歩一歩導かなくてはならない。一つのステップは小さくし、数を増やし、相手の頭の中がノーと言えず、かつ自分にとって受け入れられるものにする。
フレーミングを使う
交渉では言葉遣いがものを言う。「これが一番重要な問題だ」というビジョンを相手のためにはっきり描き出すことが重要。
例えば、レストランに行って、予約した時間に席が用意されていなかった時は、「このレストランは約束を守らないんですか?」と聞く。また「顧客を不満にするのが、御社の目標ですか?」という言い方は、どんなサービス提供者にも使える。
相手が物事をどのような言葉で表現するかに注目し、それを別な解釈で、相手に示すことで、うまく行けば目標を達成することができる。