今読むべき優良ビジネス書が
すぐ見つかり、読んだ本を
しっかり自分の知識にするサイト

本を検索する

カテゴリーから探す

人気のタグ

お知らせ


Android無料アプリ配信中
2012/09/16更新

挑戦する脳 (集英社新書)

157分

2P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

対象読者:

アマゾン詳細ページへ

何が起こるかわからない状況にこそ脳は学習する

日本社会の不調の理由は、「偶有性忌避症候群」にある。何が起こるかわからないという「偶有性」の状況。「偶有性」に対する恐怖感は、日本の社会の隅々まで浸透している。

「偶有性」は、生命そのものの本質であり、環境との相互作用において、私たちの脳を育む大切な要素である。その大切な「偶有性」から目をそらし、そこから逃走してしまうことで、日本人の脳は成長の機会を奪われている。

人生には、最初から決まった正解などない。なのに、あたかも正解があるかのような思い込みをして、自分自身がその狭い「フェアウェイ」を通ろうとするだけでなく、他人にも、同じ道を通る事を求め、強制する。それは「挑戦する」という脳の本質からかけ離れている。

本来、人間の脳の最も優れた能力は、何が起こるかわからないという生の偶有性に適応し、そこから学ぶことである。予想できることばかりではなく、思いもかけぬことがあるからこそ、脳は学習することができる。

自分の周囲を、予想できることばかりで固めることはできない。偶有性を避けることはできない。「偶有性」の時代に求められるのは、ある決まった知識を身に付けることではない。むしろ、大量の情報に接し、取捨選択し、自らの行動を決定していく能力である。異なる文化的バックグラウンドの人たちと行き交い、コミュニケーションしていく能力である。

今や、日本の常識は、世界の非常識。これは教育にも該当する。根本的なところから、日本の制度、日本人のマインドセットを作り直さなければ、日本の再生は望めない。

新しい風景の中に身を置き、挑戦せよ

人間が挑戦を重ねずにはいられないのは、「新しい風景」を見たいからである。私たちは、この世界に生まれ落ち、最初は様々を新鮮に受け止めているけれども、やがてそれらの強い印象も低下していく。

脳の中の神経細胞は、何度も同じ刺激を提示されると、次第に「馴化」が起こり、活動レベルが低下してしまう。一度目が一番大きく活動する。二度目、三度目と同じ刺激を提示されると、一度目ほどの活動を見せない。

脳の中には、ドーパミンという神経伝達物質がある。ドーパミンの放出量は「意外な」報酬があったという「差分」を反映する。だから、すでに知っている報酬では、ドーパミン細胞はさほど活動しない。

だから、オープン・エンドで学び続けるという脳の潜在能力を十全に発揮するためには、「新しい風景」の中に身を置き続けなければならない。挑戦することで、私たちは、世界の新しい切り口を見出す。その事で、生命自体が更新される。