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2012/09/16更新

挑戦する脳 (集英社新書)

157分

2P

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変化にこそ人間の脳は学習する!

脳科学者の茂木健一郎氏が、今の時代を生き抜くためにはどうすれば良いかを解説。人間の脳とは、環境変化に対し、挑戦し続けるものであり、変化があるからこそ潜在能力を発揮できると説く。


■どんな状況でも脳は挑戦しようとする
人間の脳は「オープン・エンド」。生きている限り、一生学び続ける。何歳になっても学ぶのをやめてしまうことはない。それが、現代の脳科学が示している一つの真実である。

人間の中には、自分ができないことに挑戦したいという抑えがたい本能のようなものがある。挑戦というものが、人生のいろいろな様相の中で、形を変え、文脈を異にして繰り返し現れるものであることを、正しく見極めるのが大切である。自分の人生における些細な「挑戦」をも正当に評価すること。自分の身体を動かし、感覚のフィードバックを受け取り、そうして脳の神経系の結合パターンをアップデートしていく。そのような学習の普遍的プロセスにおいて、「挑戦」が持つゆるやかで豊饒な意味合いを手放してはいけない。

人生の真ん中に「挑戦」を置く。そのようなコンセプト・ワークに成功すれば、受験や就職といった人生の局面で「失敗」し、打ちひしがれ、無力感にとらわれている人も勇気づけられるだろう。

超短要約

脳の働きを一言で表せば、「学習」するということである。脳は、決して完成しない。その学習のプロセスは終わりなき「オープン・エンド」な「旅」であり、一つの課題をクリアしたと思うと、必ず次の目標が姿を現す。

完成型がないからこそ、人生の楽しみがある。人間は、変わることに最大の喜びを感じる存在である。それでいて、変わることは不安で時に恐ろしいことでもある。脳の宿命が、学習することであり、変わることである以上、自分が更新されることに対する不安は、乗り越えなければならない障壁の一つである。

「学習」と言えば、誤りが修正され、次第に「正解」に向けて成績が上がっていくプロセスだと思いがちである。しかし、学習の本体は、実は「挑戦」である。「挑戦」とは、文脈を乗り越えていくことである。

今までの日本のように、大学入試や、語学検定や、新卒一括採用のように、文脈が定められた中で線形の穏やかなチャレンジをするのではなく、むしろ文脈から飛び出さなければならない。

著者 茂木健一郎

1962年生まれ。脳科学者 ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー 慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特別研究教授 「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係(心脳問題)についての研究を行っている。また、脳と神経に関する一般読者向けの解説書を多く執筆し、テレビ番組や雑誌、週刊誌などマスメディアで積極的に活動している。 著書に『脳と仮想』『ひらめき脳』『生命と偶有性』など。

この本を推薦しているメディア・人物

日本経済新聞 日本経済新聞
サイエンスライター 竹内 薫

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
まえがき p.3 4分
1 暗闇の中を手探りで歩く p.13 6分
2 発見の文法 p.23 6分
3 「挑戦」の普遍性 p.33 5分
4 非典型的な脳 p.42 6分
5 誰でも人とつながりたい p.52 6分
6 偶然を必然とする p.62 6分
7 盲目の天才ピアニスト p.72 6分
8 欠損は必ずしも欠損とならず p.82 5分
9 脳は転んでもただでは起きない p.91 6分
10 笑いが挑戦を支える p.101 6分
11 日本人の「挑戦する脳」 p.111 6分
12 アンチからオルタナティヴへ p.121 6分
13 挑戦しない脳 p.131 6分
14 死に臨む脳 p.141 6分
15 臨死体験 p.151 6分
16 自由と主体 p.161 6分
17 「自由」の空気を作る方法 p.171 6分
18 地震の後で p.181 6分
19 できない p.191 6分
20 リヴァイアサン p.201 6分
あとがき p.211 7分

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