25歳の最年少上場社長、リブセンス村上社長の起業ストーリー。
早稲田大学の1年生の時に株式会社リブセンスを創業し、わずか5年で、会社を東証マザーズに上場させた村上社長へのインタビューを通して、起業の苦労や働く意味を教えてくれる1冊。
■起業のきっかけ
村上が起業しようと思ったはっきりしたきっかけはない。両祖父が経営者だったこと、母親に勧められて見た経済番組でビジネスの面白さを知ったという影響もあるが、決定的な要因ではないという。ただ高校2年生の時、「自分はどうして生きているんだろう」と自問自答した経験が、創業する決意を芽生えさせた。
高校3年生の夏休み、村上は起業の資金を貯めたいと思い、アルバイトを探す。しかし、情報誌を見ても、ネットサイトを見ても、条件に合うものがなかなか見つからない。この時、村上はある事に気づく。繁華街を歩いていると、店頭には「アルバイト募集」と書かれた紙が貼り出されているが、同じ情報が雑誌広告やネットに出ていなかったりする。店に聞けば、店としても張り紙だけでなく、ネット広告を出した方が人を集めやすいが、広告費がかかるという。
この時の不便さをずっと覚えていた。どうすれば理想のアルバイト求人ができるのか。これが後に、起業の原点になっていく。
■これで儲かるんですか?
リブセンスが主力としているのは、アルバイト情報サイト「ジョブセンス」である。アルバイトを採用したい企業がジョブセンスに募集広告を出し、アルバイトを探している利用者がそれを見て応募する。
アルバイト情報を掲載するサイトというのは、インターネット初期の頃からあった。リブセンスは後発中の後発である。一緒に創業した仲間も、当初は「今さらバイト情報サイトか」と思ったという。
競合するサイトも多い中、リブセンスが目覚ましい成長を遂げることができたのは、画期的なビジネスモデルにある。アルバイトを採用したい企業は、サイトに「無料」で募集広告を出すことができる。その広告を応募してきた人を採用した時に、初めて企業はお金を払う。この「成功報酬型」のシステムは業界の常識を覆すやり方だった。さらに応募者は、採用が決まると、リブセンスから最大2万円の採用祝い金がもらえる。
創業間もなくの頃、学生だった彼らが営業に行った先では、「そんなビジネスモデル、本当に成り立つの?学生が考えそうな浅はかなアイデアだよね」と言われた。
広告を見た人からの「採用」が決まらないと料金が発生しない仕組みは、自分達が収入を得るためのハードルを高くする。しかし、より多くの人を「幸せにしよう」という姿勢が、事業を大きく成長させることになった。
著者 上阪 徹
1966年生まれ。フリーライター アパレルメーカーのワールド、リクルート・グループなどを経て、95年よりフリー。 経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍などで幅広く執筆や インタビューを手がけている。 インタビュー集に『プロ論。』シリーズは累計40万部を超えるベストセラーになっている。
帯 サイバーエージェント代表取締役 藤田 晋 |
日経ビジネス Associe (アソシエ) 2012年 10月号 [雑誌] |
THE 21 (ざ・にじゅういち) 2012年 11月号 [雑誌] |
日本経済新聞 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに 25歳の最年少上場社長から学べること | p.1 | 4分 | |
第1章 人を幸せにするビジネスモデル | p.15 | 11分 | |
第2章 起業を決意した高校時代 | p.35 | 19分 | |
第3章 ベンチャーキャピタルはすべて断る | p.69 | 22分 | |
第4章 器用じゃないから乗り越えられた | p.109 | 18分 | |
第5章 上場は当然の通過点 | p.141 | 16分 | |
第6章 最年少上場社長はどう育ったか | p.171 | 12分 | |
第7章 人を幸せにするのは自分のため | p.193 | 12分 | |
おわりに | p.215 | 3分 |
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