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ユニクロが3000冊購入した経営書

米国第二位の鉄鋼メーカーのニューコアの会長がその経営について語っている本。米国では、経営者が自らの給与や待遇を良くすることばかり考えている。しかし、著者は経営者と社員の格差を最小限にすることこそ、企業繁栄の鍵だとする。

25年間レイオフなし、連続30年以上、損失を出していない経営の秘密がわかります。


■経営者を優先する理由はない
1982年頃の不況期、ニューコアの生産高は半分近くに落ち込んでいた。勤務は週4日あるいは3日にまで削られ、社員の平均給与は25%減となった。それでも、従業員の不平は一つも聞こえてこなかった。

従業員が賃金の大幅カットに耐えたのは、どの従業員も身の丈を超える犠牲を強いられなかったからである。事業所長ら役員たちは50〜60%の収入源となり、従業員と痛みを分かち合った。このおかげで、ニューコアは仕事が減っても一人の社員もレイオフせず、苦しい時期を乗り越えることができた。

ほとんどの人は雇用の安定を得られていない。労働者の短期的な利益は、株主と重役陣の短期的利益に比べると後回しにされがちである。そしてこの3つの利益が衝突した場合には、労働者が職を失うことになる。

しかし本来、経営者は特別扱いを受ける必要はないし、それに値する訳でもない。経営者が他の社員より重要ということはない。誰よりも優れている訳でもない。職務が違うだけである。

超短要約

単純さこそがニューコアを成功に導いたものである。

・長期的な存続を短期的な収益より重視すること
・重役のふところを潤わせるのではなく、痛みを分かち合うこと
・意思決定の権限を現場の労働者に与えること
・管理職と従業員の差を最小限にすること
・社員には生産性に応じた報酬を支払うこと

これによって従業員は実際の収益を高めることに専念でき、管理職は従業員の行く手から障害物を取り除くことに専念できる。

著者 ケン・アイバーソン

ニューコア・コーポレーション 会長 物理学研究員を経て、技術職や管理職として金属業界を渡り歩く。 1962年、ニュークリア・コーポレーション・オブ・アメリカ(1972年にニューコア・コーポレーションに社名変更)に入社。副社長を経て、同社が破産の危機に瀕した1965年に39歳で社長就任。 事業をスチール製ジョイスト(非住宅用)の製造と再生スクラップからの製鋼に絞り込んだ。その後、会長となり、各社の役員も歴任。 技術上の業績に対して贈られる米国最高の栄誉、米国国家技術賞を授与された。 ニューコアは現在、全米第二位の鉄鋼メーカーである。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
はじめに p.8 5分
1 「長期の」利益を全員の目標に p.15 10分
2 意思決定は現場にまかせろ p.30 17分
3 社員はすべて平等だ p.56 18分
4 進歩は従業員から生まれる p.83 14分
5 やる気を生む給料とは p.104 14分
6 小さいことはいいことだ p.125 13分
7 リスクをとれ! p.145 15分
8 「ビジネス」と「倫理」の関係 p.167 8分
9 成功は「シンプル」の先に p.179 5分
エピローグ ビジネススクールへの提言 p.186 6分

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