リスクの源
リスクの発生要因には、以下のものがある。
①うっかりミス
リスクの発生や失敗の原因でよくあるのが、単純な不注意、すなわち「うっかり」である。人間なので、不注意でミスをするのは当然。これを防ぐには、2つの対策がある。
・ミスの原因を深く探ることで、ミスが発生する確率を低くする
・何重にも安全対策を施す「多重防護」で防ぐ
②オオカミ少年
リスクに対する警鐘を鳴らしたものの、結果的にそうした事態が発生しなかった場合、信頼を失いかねない。
リスクについて警鐘を鳴らす立場の者は、常にオオカミ少年と言われるリスクを抱えており、それに対して毅然としている勇気が求められる。
③記憶の風化
私たちは危機や失敗を記憶にとどめ教訓とするが、月日が経つにつれ徐々に忘れ去り、いつかまた同じことが起きてしまう。地震や津波などの大きな自然災害ですら、世代交代により記憶が風化してしまう。
④見たくないものは見ない
人間の心理は、「見たくないものは見ない」ことにしがちであるため、過去の失敗や事故の体験は後世に伝わりにくい。失敗の記憶を記録として残しても、改めて目を通すことは少ない。
失敗を糧にするには、失敗やトラブル、事件事故などに関する記録に普段から目を通す習慣や機会を作ることが大切である。
⑤他人任せ
様々なことが複雑かつ、多様化・専門化している今日、外部のサービスに頼る面が多くなっている。しかし、重要なことに関しては主体的に考え、関与することが、リスク管理の観点から求められる。
リスク管理はなぜ失敗するのか
「防げたはずなのに防げなかった」という類のリスク管理の失敗は、リスク管理を行う「インセンティブ」がないことに起因している。リスク管理のインセンティブがない理由は次の通り。
・リスクを考えるよりもっと前向きなことを考えたいという自然の欲求
・リスクが現実のものとならなかった時、リスクを管理する行為への評価が低くなる
・リスク管理を行うことはリスクを取らずリターンを得られないという誤った考え方
リスク管理の基本は「リスクを認識し、対処する」ことだが、リスクは無数にある。そこで、「自分にとって大切なものは何か、何を守るべきか」という発想が必要となる。この発想があれば、自ずと「大事なものを守る」という気持ちが生まれ、リスク管理のインセンティブとなる。
リスク管理のカギ
リスク、不確実性、想定外の3つに共通することは、いずれもまだ確定していない事に関するものということ。そのため、リスク管理のカギは次のように考えられる。
①将来のことについては謙虚でなければならない
②「あれっ」「おやっ」と、いち早く思う感覚を大事にする
③大局観や広い視野を持つ