過去から現在までの各国の経済政策を分析し、なぜデフレと円高が止まらないのかを説明している。円高の原因は何か、なぜ為替介入は効果がないのか、日銀の量的緩和政策がなぜ有効に機能しないのか、といった内容を説明しており、為替について基本的なことが学べる1冊。
■円高は深刻化している
2012年1月時点をリーマン・ショック直前期と比較した場合、23.8%の円高が進んでいる。通貨高が生じているのは豪州、ブラジル、カナダ、中国、インド、インドネシア等だが、これらの国と比較して突出している。
しばしば実質実効為替レートの動きから円高は深刻でないという議論がされる。しかし、名目実効為替レートは過去最悪の水準にあるため、実質実効為替レートの動きがマイルドであるのは、日本が貿易相手国と比較して物価上昇率が低く、かつデフレであることが原因。円高という対外要因ショックを、デフレという形で国内経済において調整していることを意味する。この事から、円高は深刻と言える。
①過去の推移との比較、同時期の各国通貨の動向比較でみて円高は深刻化している。
②最近の円高は、欧米諸国の経済不安に基づくドル安、ユーロ安というグローバルな要因が主因ではない。
③円高は自然現象ではなく、経済政策、金融政策の結果である。
④円高は、輸出産業の利益を減少させ、企業の海外調達促進、研究開発拠点の海外移転を進めるという空洞化につながる。
⑤デフレと円高は日本経済に悪影響をもたらす。
⑥深刻な円高とデフレが続くのは天災ではなく、政府と日銀による政策の失敗が原因である。
著者 片岡 剛士
1972年生まれ。三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済・社会政策部主任研究員 専門は応用計量経済学、マクロ経済学。
週刊 東洋経済 2012年 6/2号 [雑誌] |
エコノミスト 2012年 6/26号 [雑誌] 早稲田大学政治経済学部教授 原田 泰 |
日経ビジネス |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.7 | 2分 | |
第1章 円の暴騰と日本経済 | p.11 | 19分 | |
第2章 円高の原因は何か | p.43 | 22分 | |
第3章 為替と経済政策を問いなおす―金本位制から固定相場制へ | p.79 | 34分 | |
第4章 為替と経済政策を問いなおす―変動相場制以降 | p.135 | 31分 | |
第5章 デフレと円高を止めるために何をすべきか | p.187 | 42分 | |
おわりに | p.257 | 8分 |
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