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2012/08/11更新

独立国家のつくりかた (講談社現代新書)

179分

3P

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固定概念にとらわれるな

現政府に文句があるなら、勝手に独立国家を作ればいい。物事や社会を違った視点から見ることで、新しい生き方ができるとし、実際に熊本に新政府を樹立した著者が、その生き方、考え方を紹介している。


■路上生活者たちのレイヤー
隅田川沿いを歩いていると、ブルーシートハウスが建ち並んでいた。そこで、一軒の家と出会う。一見、普通のブルーシートハウスだが、屋根には小型のソーラーパネルが付いている。家の中は畳一枚分ぐらいの小さな家。しかも、オール電化。

都市を自然と捉え、東京の自然素材(ゴミ)を0円で転用し、自分の手で家を建てている。狭くて大変じゃないかと聞くと「この家は寝室にすぎないから」と。晴れていれば、隣の隅田公園で本を読んだり、拾ってきた中学校の音楽の教科書を見ながらギターを弾いたりできる。トイレも水道も公園にあって使い放題。風呂は一週間に一度、近くの銭湯に行く。食事はスーパーマーケットの掃除をしたついでに肉や野菜をもらえる。だから、家は寝室ぐらいの大きさで十分だ。

家だけが居住空間なのではなく、彼が毎日を過ごす都市空間のすべてが、彼の頭の中でだけは大きな家なのだ。同じモノを見ていても、視点の角度を変えるだけでまったく別の意味を持つようになる。彼の家、生活の仕方、都市の捉え方には無数のレイヤー(層)が存在していた。

超短要約

路上生活者たちは、自分たちの家を寝室と捉え、都市空間そのものを大きな家としている。つまり、視点の角度を変えるだけで、全くレイヤーを生きることができる。

大事なのは疑問を持つこと。住宅ローンや車購入のために借金をして、やりたくない仕事をするのはおかしい。本当に0円で生活することは不可能なのか。固定概念を捨て、自分が実現したいことを態度で示そう。

著者は、現政府の疑問を持ち、自分の態度を示すために、新政府を設立した。

著者 坂口 恭平

1978年生まれ。建築家・作家・絵描き・踊り手・歌い手 卒論にて路上生活者の家を建築学的に調査したレポートを発表。それをもとにした写真集『0円ハウス』を皮切りに『東京0円ハウス0円生活』『隅田川のエジソン』等のフィールドワークにもとづく作品を発表。 2011年3月の原発事故をうけて熊本に移住し、同年5月に「自殺者ゼロ」を公約にかかげる新政府を樹立、初代内閣総理大臣に就任する。

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橋本 大也

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
まえがき p.3 3分
プロローグ ドブ川の冒険 p.13 5分
第1章 そこにはすでに無限のレイヤーがある p.21 26分
第2章 プライベートとパブリックのあいだ p.61 23分
第3章 態度を示せ、交易せよ p.97 40分
第4章 創造の方法論、あるいは人間機械論 p.159 20分
終 章 そして0円戦争へ p.191 15分
エピローグ 僕たちは一人ではない p.214 3分
あとがき p.218 3分

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