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2012/08/06更新

2015年の食料危機―ヘッジファンドマネージャーが説く次なる大難 (-)

179分

5P

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穀物市場のパラダイムシフト

今、穀物価格は値上がりの傾向を見せ始めている。しかも、穀物相場の動きを見ると、20世紀末までの価格変動と21世紀に入ってからの動きは根本的に違う。例えば、2006年以降は豊作が続いていたにも関わらず、値段が上がっている。その原因は、以下の構造的変化にある。

①人々が農業資源も有限だと気づいた
世界の農地は2008年13億8000haで、2000年と比べて減少している。その理由は、農業に使える水に限界があるからである。

②人口増加に生産が追いつかない
世界の人口は2011年に70億人を超えた。そして、人口増加のペースを大きく上回るペースで穀物需要が増えている。その大きな理由が、新興国の食生活が急速に向上し、欧米化しているためである。肉食が増えることで、家畜の餌となる穀物への需要が加速度的に高まっている。

割安に推移してきた穀物相場

21世紀に入って以降、ほぼ全ての商品の価格は大きく上昇した。ただ、商品価格の変化を長期間で比較すると、穀物の価格の上がり方は小さい。1970年と2011年を比べると、約40年間で原油も金も約40倍になったが、穀物は5倍程度。この間、世界のGDPは約37倍、1人当たりGDPで19倍に増えたが、これと比べても穀物価格は割安である。

しかし、こうした状況が今後も続く保証はない。構造的な食料不足や投資マネーの影響により、環境は激変した。実際に2006年末頃〜2008年の2年弱の間に大豆、小麦、トウモロコシの価格は一時4倍に急騰している。

日本を襲う食料危機

穀物を取り巻く状況は厳しい。近い将来、日本は食料危機に見舞われ、苦境に陥る可能性が高い。そのきっかけとなる可能性が高いのは、日本の債務危機である。

1998年のロシア財政危機、2001年のアルゼンチンの財政危機などを見ると、その国の通貨は短期間で1/3〜1/4に暴落している。日本でも債務危機が起これば、円が1/3〜1/4に暴落する可能性がある。

円が暴落すれば、日本が海外から買う穀物の、国内での価格が暴騰することは避けられない。さらに、穀物の国際価格自体が上昇するかもしれない。2006年から約2年間でシカゴの穀物価格が4倍に急騰したような状況が、円暴落と同時に起これば、日本に輸入される穀物の円建て価格は12〜16倍に暴騰する。

そうなれば、食料自給率が約4割の日本において、多くの人が、十分な食料を買えなくなる。食料価格が上がると、より安いものを買い求めることを考える。しかし、安く入手できるものには、質の面で不安が付きまとう。

日本人がこれから経験するかもしれない食の危機への備えは、こうした現実にしっかり目を向けるところから始まる。