良い戦略とは
戦略の基本は、最も弱いところにこちらの最大の強みをぶつけること。良い戦略は、重要な一つの結果を出すための的を絞った方針を示し、リソースを投入し、行動を組織する。
しかし、大抵の企業はいくつもの目標や計画を立て、「予算を注ぎ込んでひたすら頑張る」以外はバラバラの行動をとっている。良い戦略に必要なのは、様々な要求にノーと言えるリーダーである。戦略を立てる時には、「何をするか」と同じぐらい「何をしないか」が重要である。
良い戦略は、新たな強みを知り弱点に気づくところから生まれる。これまでとは違う視点から、物事を見直すと気づいていなかった強みやチャンスを発見できることがよくある。
例えば、ウォルマート創業者のサム・ウォルトンは、経営の基本単位を店舗ではなく、地域ネットワークとした。つまり、ウォルトンは、常識を破ったのではなく、「ウォルマートの店はネットワークの一部」として、店舗の定義を覆した。こうして、ネットワークの経済性を活用していった。
悪い戦略の特徴
悪い戦略をもたらすのは、誤った発想とリーダーシップの欠如である。悪い戦略は、次の4つの特徴から見分けることができる。
①空疎である
戦略構想を語っているように見えるが内容がない。華美な言葉や不必要に難解な表現と使い、高度な戦略思考の産物であるかのような幻想を与える。
②重大な問題に取り組まない
見ないふりをするか、軽度あるいは一時的といった誤った定義をする。
③目標を戦略と取り違えている
悪い戦略の多くは、困難な問題を乗り越える道筋を示さずに、単に願望や希望的観測を語っている。
④まちがった戦略目標を掲げている
戦略目標とは、戦略を実現する手段として設立されるべきもの。これが重大な問題と無関係だったり、単純に実行不能だったりすれば、まちがった目標と言わざるを得ない。
悪い戦略がはびこる理由
悪い戦略を生む要因は、以下の3つである。
①困難な選択を避ける
良い戦略は重要な課題にフォーカスする。となれば、たくさんある課題の中から選びとる作業が必要になる。どれかを選んで残りは捨てなければならない。しかし、多くの場合、「ノー」を言うのは心理的、政治的にも、組織運営上も難しい。
②穴埋め式チャートで戦略をこしらえる
美辞麗句に満ちたビジョンやミッションを「戦略」と称して書かせるテンプレートとコンサルタントが大量に出現した。
③成功すると考えたら成功する
想念だけでビジョンが実現するという教えが多くの人を心酔させてきた。