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2012/08/05更新

将棋名人血風録 奇人・変人・超人 (oneテーマ21)

136分

7P

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  • 学術系
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羽生マジックの秘密

棋士にはおおまかに分けて二通りのタイプがある。一つは「完勝型」。つまり、序盤からリードして、相手に隙を与えないまま、圧倒して勝つタイプだ。そして、もう一つが「逆転型」であり、将棋史上もっとも逆転勝ちが多いのがおそらく大山康晴さん。これに続くのが羽生さんである。

どう考えても勝ち目がない局面になってしまった時、ひたすら耐えながら、気持ちをきらさずに、なるべく長く生き延びることのできるコースを辿っていけば、その先にほのかに光が見えてくるという、そんな指し方があるのは事実だ。しかし、たいがいの棋士はコースの選び方を間違えるか、たとえ正しく選んだとしても我慢できずに明かりが見える前に負けてしまう。

ところが羽生さんの場合、苦しい局面をしのいで、糸のように細いコースを辿っていった末に、大きな明かりが射すことがしばしばある。「発想自体は他の棋士と変わらないはずだ。ただ、『これでいけるだろう』と判断する基準が、私の場合、甘いらしい。可能性を人よりも広く持っているのかもしれない。」と羽生さんは述べている。

また、苦しい状況の時や指し手が見えない時は、どんどん複雑な局面にあえて持っていき、相手に「どうしますか?」と手を渡す。そうすることで、相手の出方を使って返し技をかけにいく。ピンチに陥った時こそ奮い立ち、なんとか知恵を出そうとする。それを喜びと感じられるのが羽生さんなのである。

直感精読

直感で浮かんだ手がほとんど一番良いというのは経験則である。まれに第一感よりも後で塾考して見つけた方がよい場合があるが、多くない。直感の手と後から考えた手と二者択一のときは直感の手を選ぶようにしている。後から考えた手は、都合良く読み進める傾向がある。

但し、直感力は頼りにすべきだが、将棋は深みをますことが必要なのであって、直感力だけで競うのはよしとしない。

盤面を見た瞬間、相手に着手された瞬間、次に指そうとする手は浮かんでくる。ほとんどは最有力なのだが、慎重を期して考えてよさを確かめて指すようにしている。

スペシャリスト丸山さん

将棋界の定説では、ゼネラリストでなければ上位に食い込むことは難しいとされていた。将棋にはおおまかに20以上、細かく分ければ200〜300の戦法があり、そのすべてに通じていなければ上位棋士とは互角に戦えないからである。得意戦法だけではすぐに他の棋士に研究され、弱点を突かれてしまう。

ところが、丸山忠久さんは、先手ならば角換わり腰掛け銀、後手の場合は横歩取り8五飛車という戦法に絞り込み、いわばスペシャリストとなることで名人にまで上りつめた。スペシャリストの台頭の背景には、パソコンの普及で過去の棋譜分析が格段に進んだことがあると言われる。