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2012/09/07更新

世界を救う処方箋: 「共感の経済学」が未来を創る

405分

5P

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役割を果たさない政府

1980年以降、政府は国民が公平かつ持続可能な社会で国際競争力を維持していくのに必要な公共財を提供しなくなった。その要因は次の通り。

①レーガン革命
1970年代に経済の大変動が続いたことで、国民は政府の能力を疑うようになった。80年代、レーガンは「大きな政府が経済を不安定にした」という眉唾の主張で当選すると、大規模な規制撤廃や連邦政府の権限縮小、限界税率の引き下げ、民営化を実行した。

②グローバリゼーション
市場原理によって富裕層の所得が増え、次にライバルとの「底辺の戦争(規制緩和や減税による企業誘致などの競争)」に巻き込まれた政府によって、個人と法人の所得税が引き下げられた。その結果、富裕層はますます豊かになり、貧困層のための公共支出は削られた。

③分裂した社会
公民権運動と移民の急増は、アメリカを人種や民族によって分裂させ、政治の勢力図を塗り替えた。文化、地理、人種、階級の違いにより、アメリカは引き裂かれ、共通の原則や価値観を受け入れ、それに基づき行動するのが難しくなった。

これらの結果として、政府権力は少しずつ企業の既得権益集団に移譲され、私利私欲のために利用されていった。選挙運動への献金、企業のロビー活動、政府と産業界における回転ドア人事(天下りなど)を通じて、企業の富は政治的な力に変わり、さらなる富を生んだ。

政治家は、選挙運動資金を寄付してくれる人々のために、偏った配慮をし、貧困層は事実上のけ者にされることになった。

社会が必要とするものにも共感せよ

コンシューマリズムの思想は、極端な近視眼的思考をもたらし、中毒的な消費行動へと誘い、他人への共感を忘れさせる。アメリカが立ち直るには、まず、メディアによる「買い物に熱中せよ」というプロパガンダから自由になること。

今の私たちに必要なのは、自分の欲望だけでなく、社会が必要とするものにも「共感」を持てるようになることである。

・自分への共感:自分を慎ましく律し、大量消費主義から脱却する
・仕事への共感:労働と余暇の均衡を保つ
・知識への共感:教育の機会を増やす
・他者への共感:他者への思いやりと協調を実行する
・自然への共感:世界の生態系を守る
・未来への共感:責任をもって未来のために無駄をなくす
・政治への共感:公共の話し合いの場を増やし、集合的な活動の価値観を共有する
・世界への共感:平和への道として、多様性を受け入れる

アメリカが抱える問題は、私たちが個人として下した選択から始まる。私たちはもう一度、自分たちの幸福、他人との関係、政治のあり方について真剣に考えなければならない。