儲けはすべて社員で山分け
経営の常識では、利益を上げたらできるだけ会社にお金を残す。企業を大きくする資金にしたり、不況時に倒産しないための準備金とするなど、経営者なら誰もが考える。しかし、会社にお金を残さず、内部留保をゼロにするという方法でも、十分に会社は経営できる。
内部留保ゼロにするには、儲かったら社員で山分け。社員のボーナスは年に3回出るし、金額が数百万円になるケースも珍しくない。但し、年収の上限は1000万円と決めている。これは社長も例外ではない。
2月の決算賞与で経常利益がほぼゼロになるように計算して、社員に分配する。会社に内部留保しなければ、法人所得税55%がなくなり、個人が所得税20%払っても、社員の収入は増える。
社員の年収に上限を設けていると「十分にお金を配ってもお金が余る」ことが起きる。その場合は、すべて「値引き」という形でお客様に還元する。
必要な資金は社員から集める
業績が悪化して資金繰りが苦しい時は高額な賞与を大幅カットすれば、簡単に経費削減が可能となる。「たくさん儲かったら、たくさん配る」が基本なので、「儲からなければ、配らない」は当たり前。
資金繰りは、すべて社員の出資によって成り立っている。銀行からの借入はゼロ。創業時から、自分たちでお金を出して、自分たちの会社を経営し、自分たちの職場を確保するという単純なやり方である。社員は共同経営者であると同時に、株主やオーナーでもある。だから、会社のために一所懸命に働く。何も特別な策を用いて、社員のモチベーションアップを図る必要はない。
社員の給料を全公開する
財務状況、新製品の開発過程、人事的な問題などは、すべて社内ウェブに公開しており、全社員が閲覧できる。さらに、全社員の評価、給与・賞与の額を見る事ができる。
世間一般に、もらっている金額を一番隠したいのは、社長を始めとする上層部の面々ではないか。「21」では、どんなに収入が多い人でも1000万円程度なので、上層部の収入は予想がつくため、隠す必要はない。
社員はアバウトに評価する
世の中には、10個も20個も評価項目をつくって、必死に上司が採点している会社もある。しかし、「21」では便宜上100点満点で採点するが、「まあ、あの人は65点くらいだろう」という感じでつける。部署の中で、誰が優秀か、誰が足を引っ張っているかは、半年も一緒に仕事をすれば、みんなの評価は一致する。
実際に評価する時は、一緒に働いている人から話を聞く。評価はすべて公開するので、評価に不満があれば、申し出れば良い。「すべての情報を公開する」というシステムだけで、最高のチェック機構が成り立つ。