広島を中心に120店舗を展開するメガネチェーン「21」のユニークな経営を紹介している。ノルマなし、役職なし、給料は全員に公開、利益は社員で山分け。
世間一般の会社とは異なる非常識な経営でも、会社は右肩上がりに業績を伸ばしている。この経営手法は、これからの時代を勝ち抜くための常識になり得るのか?
■上下関係・役職なし
「21」には、部長や課長などの役職はない。創業以来、ほとんどフラットな組織で会社を経営している。偉そうな役職というのは、若いうちから安い給料で、何年も必死で働いてきたことに対する一種のプレゼントである。しかし、会社はいつ潰れるかわからない。よほどの役割がない限り、たいていの役職はなくても会社は十分に機能する。
■社長の任期は4年
あくまで対外的な意味で、社長という役職は残している。社長といっても、特別な権限はなく、単なるポストでしかない。給料の上限も1000万円なので役得とは呼べない。
社長に就任しても基本的な仕事内容は変わらない。普通に店頭に立って接客もすれば、検眼やフレームの調整などの技術的な作業もする。任期は4年と決まっていて、その期間が経過すると自動的に社長職は別の人に移る。同じ人が社長のイスにずっと座っていてもロクなことがない。
■必要なことはすべて社内ウェブで決定する
「社員が共同経営者であること」「情報をオープンにする」という2つの要素が機能するため、重要事項に限らず、何か提案がある時はすべて社内ウェブを使う。提案された内容に対して、反対する人が誰もいなければ即決定。なお、社内ウェブは、社員なら誰でも閲覧でき、意見を書き込むことができるが、相応の責任を伴う。
■ノルマ・目標すべて廃止
もし、社員にやる気がなければ、業績が落ちてその人の評価は下がり、収入がダウンするだけ。社員はオーナーであり、共同経営者である。「何とかして、社員をやる気にさせよう」という発想はない。
著者 平本 清
1950年生まれ。株式会社21取締役 1968年、広島大手のメガネチェーン店に入社。抜群の売上げ成績を収め、26歳で本店副店長就任。1979年には商品部長に就任する。1986年、社長交代劇に巻き込まれ解雇される。同年、同じく会社を退職した4人でメガネ21を設立。 現在、広島を中心に全国120店舗以上、年商85億円のチェーン展開をするまでに成長。自身でも「縁なしメガネFit」を開発し、ヒット商品となっている。
帯 作家 村上 龍 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.1 | 3分 | |
第1章 儲けはすべて社員で山分け!『内部留保ゼロ』を目指す革新的経営 | p.11 | 17分 | |
第2章 必要な資金は社員から集める『究極の直接金融』 | p.43 | 21分 | |
第3章 社員の給料を全公開する『本当のガラス張り経営』 | p.81 | 13分 | |
第4章 上下関係・役職なし!徹底した『人事破壊』を実践する | p.105 | 17分 | |
第5章 ノルマ・目標すべて廃止!社員第一主義の『非常識な制度改革』 | p.137 | 23分 | |
第6章 『いい分散・いい集合』でモラルの高い集団をつくる | p.179 | 17分 | |
あとがき | p.211 | 3分 |