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現代マーケティングの常識の否定

ユニクロの初期の成長舞台は、地方の郊外ロードサイドである。商圏サイズが小さく、高感度ファッションなどへのニーズはほとんどないから、若年層にターゲットを絞り込んだり、先端トレンド商品の展開などには適さない立地であった。

そのため、ユニクロは、あえて年齢、性別を絞り込まず、万人受けするベーシックで飽きのこないデザインと低価格によって、限定された小商圏でも成立する、独自の業態を確立した。

H&Mやフォーエバー21の来店客の9割近くが、10〜30代までの女性である。対して、ユニクロの来店客は性別も年齢も問わないため、マス市場を対象にし得るという強みがある。

商品開発におけるマーケティング戦略の要諦は、独自のセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングを明確化することにある。しかし、カジュアル衣料は、競合激化が過度な差別化競争を生み、結果として差別化常時の状態が、同質化に逆転し、皆がその落とし穴にはまっている。ユニクロは、低価格でベーシックな衣料を提供し、当たり前すぎるがゆえの盲点をつき、巨大市場に切り込んでいった。

小品番ハイリスク型マーチャンダイジング

ユニクロがワンシーズンに店頭投入する商品数はたったの500品番。ユニクロは常識で考えられないぐらい、極端な商品の絞り込みを行っている。競合SPA業態のZARAやH&Mなどに比べ1/10〜数10、しまむら等に比べれば1/100の水準だろう。

徹底した少品種大量生産・販売の仕組みを好循環させることが、ユニクロのビジネスにおける最大のノウハウである。同時に、そこには売れなければ在庫の山となり、代替がきかないという巨大なリスクも内在する。

だからこそ、ユニクロは1品番に10倍のエネルギーを注ぎ込み、高精度かつ高品質なモノづくりをしなければならない。ユニクロにとって、SPAは単なる卸し中抜きのコスト低減戦略ではなく、ユニクロたる絶対的なブランディング戦略と言える。

ユニクロのサイクル

ユニクロでは、毎回以下のようなことが繰り返されている。

フリースやヒートテックのようなヒット商品が出て、ユニクロブームがくる。そうなると、他の商品もよく売れるから、品番が増え、ファッションやトレンド系の商品が増加する。すると、そうした商品が前面に出て、定番商品が埋もれ、ユニクロらしさが薄まっていく。
この状態になると、都市部の若者客や一部の層には受けるが、老若男女すべてをターゲットにする全国の既存店の売上低迷が目立つようになる。そこで、品番を絞り、ベーシックを強化することで、次のヒット商品の芽が出てくる。