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絶対にNo.1を目指す

し烈な開発競争が繰り広げられているスーパーコンピューター(スパコン)において、「京」は2011年に世界No.1の演算性能を達成した。

国家プロジェクトとしてのスパコン開発に富士通の参画が決まり、内部に部署が発足したのが2007年夏。社内ではその1年近く前に、動きが始まっていた。スパコン用のCPUを開発するために、「プロセッサー、かくあるべし」という、概念設計の議論をする場が設けられた。

「誰もやっていないことを実現しよう。そして世界を驚かそう」、できない理由を並べるのではなく、どうしたらできるかを考える検討会の名称は「ストロングコーヒー」。目覚めの一杯というその名の通り、参加者は覚醒していく。

CPUには、消費電力は1/2に抑え、性能は約3倍高めるという大きな課題が与えられた。これを達成するため、動作周波数を上げるという従来の考え方はやめ、演算結果を一時保存しておくレジスタの数を増やすことで処理速度を向上させた。

莫大な経費がかかるプロジェクトに対して、社内には、必ずしも賛同者ばかりいた訳ではなかった。そこで役員を味方にすることにした。

「2位じゃダメなんでしょうか」
政府による事業仕分けにより、プロジェクトは凍結の危機に瀕した。しかし、社長をはじめとする役員は、すでにスパコン開発の味方になっていた。

トップに立てれば、日本が今もなお技術立国であることを世界に、そして日本の技術者、研究者に対して示すことができる。それが大きな誇りとなって、さらに次を目指そうという原動力を生み出す。

大切なのは、世界一を目指して頑張り続けること。最終的な結果はともかく、世界一を目指して頑張らない限り、世界一になることはできない。

覚悟を決めて立ち向かう

東京証券取引所の株式売買システム「アローヘッド」は、東証と富士通が一体となって開発した世界最高水準のシステムである。

2005年、富士通が運用していた東証のシステムに障害が発生し、全取引がストップする事態が起こった。東証の社長、専務、常務が引責辞任するに至る。2006年に東証が新システムの開発ベンダーを公募した際、富士通は選ばれないと考えられていた。しかし、東証は富士通と再び組むという選択をした。

プロジェクトには、絶対に成功するしかないという危機意識ができていた。2010年、アローヘッドが稼働する。注文応答時間は2ミリ秒、情報配信時間は3ミリ秒。
高性能は処理にかかる時間をそぎ落としていくことの積み重ねで実現している。なんらかの方程式で一気に解くのではなく、地道な作業の積み重ねである。

世界の動きは速い。アローヘッドはもう、世界最高水準とは自称しにくくなっている。世界と闘っていくためには、変わっていかねばならない。