スーパーコンピューター「京」、東証の株式取引システム「アローヘッド」、国立天文台ハワイ観測所の「すばる望遠鏡」、らくらくホン、農業クラウド、手のひら認証。
富士通のものづくりの現場社員へのインタビューにより、どのようにプロジェクトが進められてきたかがを明らかにされています。
「挑戦者に、無理という言葉はないんだ」
富士通のコンピュータビジネス創始者の池田敏雄氏の言葉が息づく、ものづくり精神を学べます。昨今のものづくりにおけるヒントが見つかる1冊。
■人を幸せにするものをつくる
「らくらくホン」シリーズは、発売以来11年を迎え、累計販売台数が2000万台を超えた。
シニア層を主なターゲットとしたらくらくホンのコンセプトは「見る、聞く、話す」に「使いやすい」を加えたもの。「使いやすい」には、「親切、簡単、見やすい、安心」が含まれる。最新の機能を詰め込むよりは、携帯電話の基本性能を向上することが優先される。
らくらくホン発の技術には、例えば「はっきりボイス」がある。相手の声と、それ以外の騒音とを区別し、声だけをはっきりさせるようにした。ゆっくりボイスは、早口が聞き取りにくいというニーズに応えた機能。
らくらくホンの場合、ハイスペックな目立つ機能ではなく、使いやすさにこだわった機能の積み重ねが、顧客に評価されている。セールスポイントは、高度な技術そのものではなく、それを応用しての使い勝手ということ。
高度な技術を、先進機能として製品に入れ込むことは、技術開発にとってはある意味楽かもしれない。むしろ、高機能な技術を、意識することなく簡単に使えるようにすることの方が難しい。
作り手の視点だけでは、良いものは作れない。同時に、顧客の声に応えるだけでも、技術は進歩しないし、イノベーションも起こらない。「これ、どうですか」という提案を会議の場でして、開発者の思い込みにならないようにヒアリングをして、それを製品に適用していくというサイクルを回している。
著者 片瀬 京子
1972年生まれ。ライター 1998年に大学院を修了し、出版社に入社。 雑誌編集部勤務の後、2009年からフリー。
著者 田島 篤1965年生まれ。日経BP社コンピュータ・ネットワーク局プロデューサー兼ITpro副編集長 1989年に日経BP社入社。日経Linux編集長、日経ソフトウエア編集長を経て、2011年から現職。
帯 一橋大学名誉教授 野中 郁次郎 |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
日経ビジネス Associe (アソシエ) 2012年 09月号 [雑誌] |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.2 | 2分 | |
第1章 絶対にNo.1を目指す ( スーパーコンピューター「京」) | p.13 | 12分 | |
第2章 覚悟を決めて立ち向かう (株式売買システム「アローヘッド」) | p.37 | 10分 | |
第3章 妄想を構想に変える (すばる望遠鏡/アルマ望遠鏡) | p.57 | 13分 | |
第4章 誰よりも速く (復興支援) | p.83 | 13分 | |
第5章 人を幸せにするものをつくる (「らくらくホン」シリーズ) | p.109 | 8分 | |
第6章 泥にまみれる (農業クラウド) | p.125 | 9分 | |
第7章 仲間の強みを活かす (次世代電子カルテ) | p.143 | 8分 | |
第8章 世界を変える志を持つ (ブラジル/手のひら静脈認証) | p.159 | 11分 | |
寄稿 外から見た富士通 | p.181 | 8分 |
世界一を獲ったプロジェクト・リーダーたちの考え方
http://kosstyle.blog16.fc2.com/blog-entry-1824.html
2012-06-20
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